ボーイング、株主還元しすぎで債務超過の事情
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株主資本”至上”主義が行き過ぎた典型例。
経営陣の報酬が株価に連動するの理にかなうものですが、それも度が過ぎる考えもの。債務超過になってまで自社株買いをして株主だけのご機嫌をうかがうのもどうかと思います。
実は、スタバも前期は1兆円を超える自社株買いをして6千億円を超える債務超過になっています。もはや心地の良いサードプレイスには株主だけが集まっているかのような状態。
日本企業は株主軽視を指摘され、それはそれで事実ですが、極端な株主価値向上経営に行き過ぎていません。
巨大地震などの自然災害は必ず一定周期で起こるものだから備えておこうという日本人に染み込まれたDNAを持っているから振り切れないのです(それを口実にキャッシュを溜め込むだけの企業があるのもまた事実ですが)。
ボーイングのピンチは737MAXの失態に端を発するものですが、それにコロナが追い打ちをかけた格好で、もはや自力再建は困難。公的支援を得られないと立ち行かないくらい傷んだということでしょう。
本末転倒なファイナンス戦略だと思います。「株価を重視するあまり、自社株買いや高額配当などの行きすぎた株主還元を進めてきた」、「自己資本比率は債務超過寸前の0.3%」
金利が高く投資機会が多い状況で自己資本比率を下げれば、金利が経費になるメリットでROEが高まる反面、景気悪化の際の対応力が弱まります。ただ、米国と世界の経済が好調な中で、リスクはそれほど気にならなかったのでしょう、たぶん。
金利が低い中で投資機会が少なければ自己資本比率を上げてもROEを高める効果は限られますし、赤字化すれば忽ち倒産リスクに見舞われます。資金を自己資本(内部留保含む)で調達するか負債で調達するか、現金などの当座資産をどの程度厚めに持つかはすぐれて経営感覚の問題です。
内部留保が厚すぎると散々非難され続けた日本企業ですが、こうなってみると、内部留保を厚めに持ったのは正解だったと言えるかも (・。・;余剰の現金の処理方法の一つとして自社株買いは肯定されるべき選択肢で、ボーイングは好調時には配当+自社株買いを行う、ある意味教科書通りのオペレーションをしてきています。しかし2014年以降は、自社株買いの金額的はやりすぎになり、ショック時にも公的資金に頼らない程度の財務余力を持つ必要はあるのだと思います。今後、リーマンショック以降の金融機関の資本規制にならって、テールリスク発生時の事業継続性を担保する程度の現金等を保有することを要請する形で自社株買いにキャップをするような考え方が出てくるかもしれません。
さて、公的資金なしに渡り切れるのか。