【元トラック運転手が解説】なぜトイレ紙が店頭に並ばないのか

2020/3/30
新型コロナウイルスの感染拡大の最中、トイレットペーパーが店頭から姿を消した。
「中国から輸入できなくなり、トイレットペーパーがなくなる」という情報がSNSで駆け巡ったのをきっかけに、トイレットペーパーやキッチンペーパー、果ては生理用品まで、紙製品がまたたく間に完売した。
これに対して製紙会社が参加する日本家庭紙工業会は2月28日、「供給力・在庫は十分ある」と消費者に呼びかけ、経済産業省も3月3日に同様の発表をして事態の沈静化に動いた。だが、未だにトイレットペーパーは品薄状態が続いている。
感染拡大が止まらぬ中、先行きに不安を覚えて買い置きを増やそうとする人が多いのは仕方がないことだ。だが、問題はそれだけではない。
トイレットペーパーの品薄問題は、日本の物流インフラの大きな問題点をあぶり出しているのだ。日本の物流の9割を担う、トラックドライバーの人手不足だ。
トイレットペーパーを通じて見えた物流の軋(きし)みとはどんな問題か。『トラックドライバーにも言わせて』(新潮社)を3月に上梓した、元トラックドライバーの経歴を持つ異色のライター、橋本愛喜さんが解説する。
橋本愛喜(はしもと・あいき)フリーライター。元トラックドライバー。父が営んでいた会社の経営を引き継ぎ、トラック輸送の業務を担当した経験をもとにブルーカラーの労働環境、災害対策、文化祭などに関する執筆や講演を行う(撮影:大隅智洋)