【亀山×家入】「起業家のメンタルヘルス」という隠れた大問題

2020/4/5
音声番組「亀っちの部屋」Season2。ゲストにはクラウドファンディングサービス「CAMPFIRE」の代表で、投資家の家入一真氏を迎える。
前回は、SNSやマイルドヤンキー、宗教など、人が求める「居場所」についてトークを展開した。
*前回はこちら
今回は、家入氏が起業家のメンタルヘルスに着目するようになった自らの経験を述懐。起業は「失敗の仕方が大事」と語る。
亀山氏も最近の組織運営の悩みを明かすなど、経営を軸に話は進んでいった(聞き手:NewsPicksプロアナ・奥井奈々)。
*本記事は、音声番組「亀っちの部屋 Season2」から一部を抜粋、編集したものです。音声はこちらからお聞きください(マナーモードを解除してください)。

プレッシャーで自殺した後輩起業家

奥井 前回、話はSNSから宗教にまで広がりましたが、いかがでしたか。
家入 いやあ、僕の大好きなジャンルの話ができて幸せでした。本当は、こういう会話だけをして生きていたい。
奥井 さて今回は、お二人が起業を目指す若い人に伝えたいことを伺います。
家入 本当は前半でもっと話したかったんですけど、ここ数年は「起業家の心の課題」が、僕のテーマです。
というのも約10年前、後輩の起業家が仕事のプレッシャーで、自ら命を絶ってしまったんです。
家入 一真(いえいり・かずま)/CAMPFIRE代表
「直前まで会っていたのになぜ気づけなかったんだ」「なぜ言ってくれなかったんだ」と、当時は彼や自分に対する怒りや悲しみが押し寄せてきましたが、ようやく今は、彼が選んだ結果を尊重するしかないと思えるようになりました。
僕自身はひきこもりを経験して10代を家で過ごした後、起業したら運よくうまくいき、起業に救われました。だから昔の僕なら、「みんな起業しようぜ」と発信したかもしれません。
しかし彼のことがあって以来、起業が果たして素晴らしい選択肢なのか、答えを出せずにいる。少なくとも、安易にあおってはいけないと感じています。
亀山 起業なんてしないほうがいいよ、9割方だめなんだから。それに起業っていうと大げさだから、商売でいい。ちょっとやってみて、だめならやめればいいんだ。
亀山敬司(かめやま・けいし)/DMM.com会長
家入 そうですね。僕自身も、基本的に起業に失敗はつきものだと思っています。だからこそ大切なのは、再起不能になる失敗をしないこと。
身の丈以上の資金調達をして借金を背負うなど、金銭的に再起不能になってしまうのも大変です。
しかし、何より大事なのはメンタル面です。失敗して「起業はもうこりごりだ」と思うのは構わない。でも精神的に打ちのめされてしまい、起業以外の選択肢も含めて失ってしまうと、立ち上がれなくなります。
亀山 そうだね。
家入 投資家がリターンを求めるのは当然です。でもその一方で、起業家の心が壊れる前に、早めに検知できる何らかの仕組みを作れないかと、最近は考えています。