【休日に考える】私たちの文化を規定する「日本語」の正体

2020/3/28
NewsPicksの音声番組「未来の古典を読み直す」。
過去数十年に刊行され、今後古典として長く読み継がれていくであろう本を1冊取り上げ、その本にゆかりの深い有識者と、中身の現代的な意味を読み直していく番組だ。
今回取り上げるのは、2008年に筑摩書房より出版された水村美苗『日本語が亡びるとき』。センセーショナルなタイトルと内容が議論を呼び、ベストセラーとなった。小林秀雄賞を受賞し、2015年には増補版も出版されている。
著者である水村氏は、12歳で家族とともにアメリカに渡りながらも英語になじめず、日本語で書かれた古い小説ばかりを読んで過ごした。
写真:istock/anants
そして後に、アメリカの大学で教鞭を執りながら日本語の小説家としてデビューを果たすという、ユニークな経歴の持ち主だ。
本書において、水村氏は言葉を「普遍語」「現地語」「国語」の3つにわけ、タイトルの「日本語が亡びる」とはどういうことか、論を展開している。
「普遍語」:世界に流通する「外の言葉」。ヨーロッパだと長らくラテン語が、日本語だと漢語が普遍語として存在していた

「現地語」:各地域でふだん話されている言葉

「国語」:近代の国民国家とともに確立されたもの
これらの概念を用い、また自身の経験を織り交ぜながら、インターネット時代のいま岐路に立たされている日本語と日本語文学を理解していく。
本書を解説するのは、鴎来堂、かもめブックス代表の柳下恭平氏。構成・校閲会社を経営し、書店の店主も務める「言葉のプロ」だ。
柳下恭平(やなした・きょうへい)
1976年生まれ。世界中を放浪後、会社勤務を経て2006年に書籍校閲専門の校正会社鴎来堂(おうらいどう)を設立。2014年に、書店「かもめブックス」を開店。2017年に、ドトールコーヒーと池袋に「本とコーヒー」、「梟書茶房」をオープンした。
「普遍語」としての英語がますます力を持つ世界で、われわれはどう言語に向き合うべきなのか。グローバル化において、なぜ「日本語が亡びる」のか。現代人にとって、言語とは何か。
柳下氏のトークから、我々の文化を規定する「言葉」の正体が明らかにされる。
*トークテーマ
◆新しい言葉を作る〜インターネットスラングと夏目漱石

◆言語とは文化であり、マインドを規定するものである

◆なぜ音楽に「サビ」が生まれたのか?

◆長い文章が読めなくなる? 「ドラクエ文学」とインターネット

◆副読本『べつの言葉で』から読み解く、「日本語は亡びるか」の解
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(聞き手:野村高文、編集:田中裕子、デザイン:黒田早希)