[ニューヨーク/ワシントン 24日 ロイター] - トランプ米大統領が4月中旬までの経済活動再開に意欲を示す中、一部の州知事らは新型コロナウイルスの感染拡大抑制に向けた自粛措置が米経済の打撃になっているとしても、解除するのは時期尚早であると警告した。

ニューヨーク州のクオモ知事(民主党)は国民の移動や職場復帰などを認めるのは時期尚早として強く反対する意向を表明。「国民の健康と経済のどちらを選ぶかという議論に選択の余地はない。人命を犠牲にして経済を加速しろという米国民はいない」と述べた。

さらに、州内の感染率は3日ごとに倍増しており、感染拡大のピークは2―3週間後に到来する恐れがあると指摘。ピーク時に必要な病院のベッド数はこれまでの想定である11万床を超え、14万床と考えられるが、現時点で利用可能なベッド数はわずか5万3000床で、医療サービスは重大な危機を迎えていると訴えた。

クオモ知事が会見を行ったマンハッタンのコンベンションセンターでは、ベッド数1000床の仮設病院の設置が進められている。

人口800万人超のニューヨークでは24日時点で、新型ウイルスの感染者が約1万5000人と、厳しい対策にもかかわらず急増し、米国全体の3分の1近くを占めている。死者は157人で、国全体の約4分の1を占める。

ルイジアナ州のエドワーズ知事(民主党)は、週末に自宅待機措置を導入したが、感染者が急増していると述べ、警戒感を示した。

また、メリーランド州のホーガン知事(共和党)はCNNで、15日間の自粛措置が終わったとしても事態が収束するとは思えないとの見方を示した。

トランプ大統領は24日、新型コロナの感染拡大阻止に向けて制限されている米経済活動を4月12日のイースター(復活祭)までに再開させたいとの考えを表明。さらに、国民がソーシャル・ディスタンシング(社会的距離戦略)を実行しながら仕事に戻ることは可能と述べた。

市場からは、急速な経済再開は死者の増加を招く一方で、外出への懸念は続くため、逆効果になるとの指摘が出ている。メルク・インベストメンツのアクセル・メルク最高投資責任者(CIO)は「市場は経済活動を再開しても機能しないことを理解しているため嫌気するだろう」と述べた。

世界保健機関(WHO)は24日、米国は新型コロナの感染拡大が「極めて大幅に加速」しているとして、パンデミック(世界的大流行)の新たな震源地になる可能性があるとの見解を示した。

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