[ニューヨーク 23日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は23日、新型コロナウイルスへの対応として前例のない刺激策を講じた。ただ、米景気対策法案を巡る連邦議会の膠着状態に加え、ウイルス感染をどの程度封じ込めることが可能か先行きは不透明で、アナリストからは、FRBの措置だけでは米株式市場の見通しを改善させることは出来ないとの声が聞かれる。

FRBは23日、緊急の連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、無制限の量的緩和(QE)を行う方針を決定した。米国債や住宅ローン担保証券(MBS)を必要なだけ買い取る。全会一致で決定した。

レイモンド・ジェームズのチーフ・エコノミスト、スコット・ブラウン氏は「こうした取り組みだけでは、ウイルスに対して何の効果もない。それが大きな問題だ」と指摘し、「経済への打撃はかなりの規模になる。エコノミストは相次いで成長見通しを引き下げている」と語った。

投資家は、感染拡大封じ込めに向け米国と欧州で導入された渡航規制により、新規感染者や死者の数がどの程度抑制されるかを見極めようとしている。

投資家の間では、ムニューシン米財務長官が2兆ドル規模になると表明している景気対策を巡り、議会が混迷していることへの懸念も大きい。

米上院は23日、新型コロナ対策法案の採決に向けた動議を前日に続いて否決した。民主党が、州政府や医療機関向けの支援が少な過ぎるほか、大企業向け支援の制約が不十分だと主張し、可決に必要な支持が得られず、手続き上のハードルをクリアできなかった。

バンガードの投資家向けニュースレターの運営に携わる投資アドバイザー、ダニエル・ウィーナ氏は、議会とホワイトハウスの景気対策法案成立に向けた取り組みが行き詰まるなか、FRBは必要とされる措置を講じたようだと指摘した。

グッゲンハイムのグローバル・チーフ・インベストメント・オフィサー(CIO)のスコット・ミナード氏は、先週顧客向けリポートで、2007─09年の世界的な金融危機時に株式市場は57%下落し、2001─02年の景気後退(リセッション)時には49%下げたと指摘。新型コロナが経済に及ぼす打撃は、過去のこの2つの景気低迷よりもいっそう深刻になる可能性があり、それを踏まえると、株価には一段の下落余地があるとの見方を示した。