【基礎知識】専門医が教える「食べてはいけない食品」

2020/3/29
「正しい栄養学に基づけば、お金や時間をかけずとも効果が得られる」と語る満尾医師。では、どのように改善すれば、どのような効果が得られるのか?
最終回は「食べる投資」の具体的な中身を明かす。
満尾 正(みつお ただし) 医学博士。北海道大学医学部卒業後、内科研修を経て杏林大学救急医学教室講師として救急救命医療に従事。ハーバード大学外科代謝栄養研究室研究員、救急振興財団東京研修所主任教授を経た後、日本で初めてのアンチエイジング専門病院「満尾クリニック」を開設

NASA推奨の血糖値コントロール

──前々回に、正しい栄養学に基づいて食生活の習慣を改善することが重要というお話がありました。
満尾先生 まず、私が著書のタイトルを「食べる投資」としたのは、食生活の習慣を改善することが健康と仕事のパフォーマンスに直結するからです。
たとえば、新型コロナウイルスの予防に効果的としたビタミンDですが、うつ病をはじめとした精神疾患の予防、改善にも有効です。
ビタミンDには、脳を酸化ストレスから保護する一方で、ドーパミンやノルアドレナリンといった神経伝達物質の作用を改善させる働きがあるのです。
また、食生活によって日々変動するのが血糖値です。急激に糖質を取り過ぎると、食後に血糖値が急上昇し、その後急降下する「血糖値スパイク」が起こり、集中力の低下や眠気を引き起こすことはご存じの方も多いかもしれません。
この「血糖値のコントロール」が労働者の心身の健康とパフォーマンスにとってもっとも重要だと位置付けたのが、ほかでもないNASAです。
Photo:iStock/Pgiam
宇宙空間で働く宇宙飛行士にとって、メンタル、注意力、学習能力、判断能力、コミュニケーション能力などのパフォーマンスは生死に直結します。
そこに非常に強い影響を与えているのが、食生活によって乱れも安定もする「血糖値」だと明らかにしました。
これを受けて、米国企業では従業員の健康管理の大きな柱として、血糖値のコントロールを取り入れる動きが活発化しています。

「朝食を抜くこと」も選択肢

この血糖値に関連して、一時期「朝食をしっかり食べて、昼と夜を軽めにすると良い」という風説が流行したことがあります。