[アテネ 22日 ロイター] - 国際オリンピック委員会(IOC)は22日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて緊急理事会を開き、7月24日から開催予定の2020年東京五輪について延期も含めた対策を検討し4週間以内に結論を出す、との声明を発表した。

IOCは、1年もしくはそれ以上の延期も含めた選択肢を協議する。一方、大会の中止は問題の解決にならず誰のためにもならないとし、議題になっていないと強調した。

IOCや大会組織委員会はこれまで、予定通りの開催を目指すと繰り返し主張してきたが、参加選手や競技団体、各国のオリンピック委員会などから延期を求める声が相次ぎ、方針の見直しを余儀なくされた。

IOCは「7月24日の開幕に向けた既存の運営計画の修正や、開幕日の変更に関するシナリオ」を検討すると表明。「延期のシナリオを含め詳細な議論を開始」し、「今後4週間以内に(その作業を)終える」との方針を示した。

五輪は戦時を除いて中止や延期になった例は過去にない。

IOCの発表を受けて世界陸連は、代替日程についてIOCや他の全競技団体と協力する用意があると表明した。

英国オリンピック委員会(BOA)はIOCの発表を歓迎しながらも、「選手は依然として強い不透明感の中にある」とし、迅速な決定を求める立場を強調した。

一方、米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)のハーシュランド最高経営責任者(CEO)は、「きょうのIOCの発表に見られた前進は、状況を明確にする上で重要な一歩だが、選手は引き続き2020年東京五輪を巡る非常に強い不透明感に直面している」とし、選手の懸念緩和には不十分との見方を示した。

IOCのバッハ会長は選手に宛てた書簡で、一部の国で状況が改善する一方、悪化している国もあり、先行きが不透明なことから、「きょうの決定では新たな日程について判断することはできなかった」と説明した。

8月25日に東京パラリンピック開幕を予定する国際パラリンピック委員会(IPC)は、現在の状況を踏まえればIOCは正しい決定をしたとの見方を示した。

IPCのパーソンズ会長は今後4週間について、新型ウイルスを巡る世界の状況が改善するか見極めると同時に、大会日程の変更が必要になった場合の様々なシナリオを検討する機会になると述べた。

*内容を追加しました