【ポイント解説】コンビニはこの1年どんな改革をしてきたか

2020/3/25
コンビニビジネスは変化対応業──。
そう言われながら、対応が十分ではなかったことが表面化したのが、2019年だった。
ことの始まりは2019年2月。大阪府東大阪市にあったセブンイレブンの加盟店オーナーが24時間営業に悲鳴を上げた。
人手不足により自主的に営業時間短縮に踏み切ったオーナーに対し、セブイレブン本部は契約解除を突き付けた。問題が大々的に報道されたことで、コンビニオーナーが置かれた厳しい現状が明るみになった。
一連の騒動を受けて、セブンイレブンジャパンの古屋一樹社長は辞任、それまで人事部やグループのEコマース事業を担当してきた永松文彦氏が2019年4月、社長に就任し、新体制の下で改革に乗り出した。
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しかし、営業時間問題はコンビニの苦難の1年の幕開けに過ぎなかった。
スマホ決済サービス「セブンペイ」の不正使用問題、セブンイレブンの店舗従業員に対する一部賃金計算の長年の間違い、そしてセブンイレブンとファミリーマートの本部担当者による無断発注など、問題が次々と表面化していったのだ。
こうした問題を受けて、経済産業省は世耕弘成大臣(当時)の鶴の一声で、コンビニ各社は24時間営業問題解決のための行動計画を策定し、改善に向けた取り組みを次々と打ち出した。さらに経産省は2019年6月に「新たなコンビニのあり方検討会」を設置した。
そして2020年2月、この検討会の報告書がまとめられた。この1年で、各社の改革は一定の方向性が定まったことになる。
最低賃金の上昇、人口減少、米アマゾンをはじめとするEC(電子商取引)事業者の台頭などコンビニの競争環境は厳しいものになっている。
コンビニはこれからも成長を続けることができるのか。各社の改革の重要施策を振り返り、今後の注目ポイントを整理していく。
新たなコンビニのあり方検討会(以下、検討会)は、コンビニと加盟店との問題は、本部と加盟店とのミスコミュニケーションが本質的な問題であるという認識からスタートしている。
コンビニビジネスは24時間営業と、全国どこでも統一フォーマットの店舗であることを前提として発展した業態だ。
人口減少や最低賃金の上昇など社会的に大きな変化が起き、コンビニの経営環境は大きく変わりつつある。それにもかかわらず、本部は加盟店の問題に正面から向き合うことなく、対応を後回しにしてきた。これが加盟店の悲鳴が大きくなった理由だ。
報告書では解決策として、本部の利益重視からオーナーの利益重視へのビジネスモデルの再構築と、これまでの統一されたコンビニフォーマットから多様なコンビニへの転換、テクノロジーを活用した新しいビジネスの創出を提言している。
検討会では、健全な店舗運営に向けた改善策の案を各社に出させた。具体的なポイントごとにその内容を見ていこう。