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注目のコメント
FRBの社債購入が焦点になっていますが、効果を発揮するかは未知数というのがクレジット市場や中央銀行関係者たちの見方です。ポイントは、通常の景気後退でも心配はされつつも、なんとかこなせるだろうと思われていた低格付けの社債市場。急速に経済が変化する中、あらゆる前提が崩れる可能性が出てきたからです。
コロナ危機によって売り上げが立たず、社債償還の際に元本を返済できないのでは、となる可能性がある。というのも、業種によっては、一時的な資金繰り困難だけではすまないかもしれない。飛行機、ホテル、旅行。それらが基に戻るのかわからずビジネス環境が大きく変わってしまうかも、となると、資金繰りに留まらず信用リスク不安が出てきます。
ジャンク債の利回りはまだリーマンショック時ほどではないものの、前夜くらいにはなっていて、投げ売りまで行かなくとも買い手がつかない、くらいにはなっている。となると、あとはどのくらい経済活動を止めないといけないか次第。それがまだ見えていない中、FRBが社債を購入したとしても、本来の火元である感染ピークアウトとの綱引き、時間との競争になると思われます。
追記 邦銀のCLO保有など日本のリスクについては昨年秋の日銀による金融システムレポートに詳しく載っています。
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsr191024.htm/現在邦銀( 農林中金、三菱UFJ、三菱UFJ信託銀行、ゆうちょ銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行、三井住友銀行など )が多く保有しているCLOの多くは米国S&P社やMoody's社からAAA格付を付与されたものですがその概算保有残高は10兆円以上です。
リーマンショック時に、実際CLOはロスを出していないです。大爆発していたのはサブプライムローンを含有したCDOでした。
CLOはリーマンショック前後ではその構造が変わってます。リーマンショック前のCLOはCLO1と呼ばれており、リーマンショック後のCLOはCLO2と呼ばれています。違いは劣後部分が厚くなったことです。AAA格付を付与されたシニア債の安全度を増すために劣後部分が25%くらいから35%くらいまで厚みを増したのです。万が一元本が毀損してしまうような事由が発生した際、この劣後部分がそれを吸収してシニア債は守られるのです。
それではコロナウイルス肺炎による金融市場暴落劇の中で、果たしてCLOはどのような動きになっているでしょうか?
市場関係者によると、シニア債は今の所、価格下落率は10%くらいで大幅な下落はしてません。スプレッドがL+150bp-200bpくらいです。コロナ前の1月にプライシングされた案件はL+118bpでしたので、30-80bp程度のスプレッドのワイド化(価格低下)が起きています。ところが裏付けのレバレッジローンは価格下落が顕著で、既に22%以上の下落となっています。
コロナ問題が勃発する以前から世界的金融緩和により金融市場には膨大なお金が流入しました。行き場のないお金はハイリスクの金融商品にまで触手を伸ばし、かなりバブル気味な価格推移をしていました。そして今、終わりが見えない新型コロナウイルス戦争の渦中に我々は居ます。このままですと、米国経済成長率は確実に2桁マイナスとなり、米国企業の中には経営破綻する企業も多く発生するでしょう。そうなると、CLOの劣後部分の価格は暴落し、シニア債の価格も現在の10%レベルの下落では済まなくなります。
リーマンショックの際は西欧の金融機関と比較すると軽傷だった邦銀でした。現在邦銀が多く保有しているCLOシニア債は今後劣後部分が格下げやデフォルトが急増してしまうとかなりのダメージを邦銀が受けてしまうのは確実です。この1週間だけでも、米メディアでは、社債やレバレッジドローンへの懸念についての記事が一気に増えています。普段、なかなか見えてこない、この領域に、コロナ危機で何が起きているのか。ゼロからまとめてみました。
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