博報堂、30年働いた非正規社員を雇止め 「雇用継続」命じた判決が痛快だった

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この判決は、まだまだリーディングケースにはならないでしょう。

2013年施行の労働契約法で、自動的に正社員になってしまうことに企業側はあらわな警戒感を示しました。

(表現は悪いですが)本来であれば(学歴や職歴を斟酌すれば)正社員として雇用しなかったような人材を、自動的に正社員にしなければならない法律でしたから。

雇い止めが横行したのは当然です。
超一流大学卒しか正社員として採用しなかった企業が、ある日突然「Fラン大卒の非正規社員」(重ね重ねのご無礼)を正社員にしなければならなくなったのですから。

そこで企業側が考えたのが、「雇用契約の合意解除」です。

継続的契約関係であるアパート等の賃貸借契約で、借主に出て行ってもらう際に私たち弁護士が最初にアドバイスするのが「合意解除」です。

「新しい物件を見つけてあげて、敷金礼金プラス引っ越し費用で合意解除してくれればとても安上がりです」
としばしばアドバイスしていました。

強制的に退去させられない以上「合意解除」しかありませんから。

労働契約も同じく継続的労働契約・・・合意解除を取り付けることが一番だとアドバイスしますし、現にそうやって(企業にとっては)円満な退職がなされていることが多いです。

本件のようなケースの最大の争点は、「合意が有効か否か」です。
双方が自由意思に基づいて合意解除したという状況であれば、本判決は正反対の結論になったでしょう。

企業側として留意すべきは、後々翻意されないよう「自由意志で合意解除した」という証拠を書面以外でも残しておくこと。

非正規社員側としては、「やむを得ず署名捺印させられた」という状況証拠を残しておくこと。

録音や第三者の立ち会いなど、双方とも慎重な対応が必要となります。
広告会社国内2位。持株会社傘下に博報堂、大広、読売広告社の広告事業会社。国内売上が中心。業種別では自動車、飲料・嗜好品、情報・通信が多い。チャネル別ではTV、インターネットメディアが中心。アジアを中心とした新興国での体制強化に注力。M&Aも活用する。
時価総額
5,395 億円

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