【新】20万人が登録。型破り僧侶の「YouTube人生相談」

2020/3/20
まるで預言者のように、新しい時代のムーブメントをいち早く紹介する連載「The Prophet」。今回登場するのは、視聴者からのさまざまな悩み相談を受け付けるYouTubeチャンネル「大愚和尚の一問一答」が、約20万人の登録者数を誇る異色の僧侶・大愚元勝氏だ。
初の著書『苦しみの手放し方』(ダイヤモンド社)では、家庭円満の秘訣から健康法、資産構築法に至るまで、苦しみを手放して生きるための知恵を仏典に基づき伝授している大愚和尚。事業家、作家・講演家、セラピスト、空手家と5つの顔を持ち、今の時代に合った仏教を広めるべく「お寺のイノベーション」にも積極的に取り組んでいる。
何にもとらわれない自由な境地に達した“大バカ者”=大愚を名乗る僧侶は、いったいどんな人物なのか──。全3回でお届けする。
福厳寺第31世 大愚元勝(たいぐ げんしょう)
宗教法人福厳寺、代表役員・住職。(株)慈光マネジメント代表取締役。慈光グループ会長。YouTube でのお悩み相談番組『大愚和尚の一問一答』は20万登録を超え、その数は月1万ペースで現在も増え続けている。福厳寺の弟子として生まれ育ち、10才で僧籍を取得するも寺を飛び出す。愛知学院大学大学院で文学修士を取得後、32歳の頃から仏教理念に基づき複数の会社を立ち上げる。38歳のとき再び寺に戻ることを決意。2017年に福厳寺 31 代住職に就任。

「お悩み相談」が大反響

──「なぜお寺のお坊さんがYouTubeを?」というのが、多くの方が疑問と興味を感じる部分かと思います。はじめたきっかけは何だったのでしょうか。
大愚和尚 まず、お悩み相談はYouTubeをはじめる以前から、私が住職を務める福厳寺(愛知県小牧市)でお受けしていました。
その中のお一人に、関東から来られた女子高生の方がいたんです。恋愛と受験勉強の両方で失敗し、過食や拒食、リストカットを繰り返しており、お母さんが泣きつく形で連れてこられました。
お話を伺おうとしたとき、その娘さんが目の前で手首を切ろうとしました。反射的に手で払い、止めることができましたが、そのときに「こうやって苦しんでいる人が世の中にいるのか」とあらためて気づき、「誰にも相談できずにこんな遠くまでやってきたのか」とも考えさせられました。
お母様は「家庭崩壊寸前です」と話されていましたが、そうした家庭の悩み事は、名前も顔も知られている菩提寺の和尚さんには相談しづらいでしょう。精神科医が相手でも、当事者がいちばん苦しんでいることを話すには、やはり時間がかかると思います。
しかし、面識のない僧侶がネットでやっている悩み相談なら、自分の名前を明かさずに相談できるし、直接お寺まで話しに来る必要もない。そして私も、遠方の方からの相談も受けることができる。
それが、YouTubeをはじめたきっかけです。
「ユーチューバー和尚」などと呼ばれることもありますが、たまたま目的にかなったプラットフォームがYouTubeであっただけで、自分では「ユーチューバー」という意識はまったくないのです。「坊主が動画で荒稼ぎしている」というコメントも見かけますが(苦笑)、YouTubeからも収益は受け取っていません。

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