[東京 18日 ロイター] - 財務省が18日発表した2月貿易統計速報は、貿易収支が1兆1098億円の黒字となった。黒字は4カ月ぶり。ロイターの予測中央値は9172億円の黒字で、予測よりも黒字幅は大きかった。

輸出は対前年同月比1.0%減(予測中央値は4.3%減)、輸入は同14.0%減(同14.4%減)。

新型コロナウイルスによる肺炎の拡大に伴い、中国現地の生産活動が停止したほか、それに伴う物流の停滞で、中国からの輸入が大幅に減少した。

エコノミストからは「3月以降、新型コロナの感染拡大に伴う影響がグローバルに広がるのではないか」との声も聞かれる。大和総研の鈴木雄大郎エコノミストは今回の結果について「新型コロナの影響が、中国からの輸入の数字にもろに出てきている」と指摘。先行きについては「米国・欧州も活動の自粛を要請するようになったので、3月は輸出入ともに縮小するのではないか」と予測する。

<中国からの輸入、86年8月以来の減少幅に>

中国からの輸入は前年同月比47.1%減で、これは、1986年8月(同47.3%減)以来の減少幅という。輸入全体(14.0%減)のうち「9.9%が中国からの輸入減少の影響」(財務省)という。

輸入の主な減少品目は、衣類・同付属品(同65.7%減)、携帯電話などの通信機(同45.3%減)、パソコンなどの電算機類(含周辺器)(同37.2%減)だった。輸出の主な減少品目は、半導体等製造装置(同22.1%減)、有機化合物(同28.9%減)だった。

<対米、新型肺炎の影響はまだ限定的か>

対米輸出は同2.6%減で、主な減少品目は自動車(同9.2%減)、原動機(同8.1%減)など。米国からの輸入は同5.9%減だった。大和総研の鈴木氏は「対米の輸出入に関しては、新型肺炎の影響はまだ限定的。3月以降に影響が出るのではないか」とみている。

新型コロナの感染拡大に伴い、世界的に生産活動の停止やサプライチェーンの停滞が懸念されている。財務省は、今後の動向について「引き続き注視していきたい」としている。

財務省幹部は、1月は日本国内でも一部の自動車企業などで工場の生産活動が停止したことを踏まえ、現時点では判断が難しいとしつつも「日本の生産活動が停滞すれば、(輸出に対して)マイナス方向の要因になるのではないか」と警戒感を示した。

*内容を追加します。

(浜田寛子 編集:青山敦子)