中国政府 臨床試験でアビガンに治療効果 治療薬として使用へ
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ファビピラビル(商品名 アビガン)は、抗インフルエンザ薬として承認を受け、富士フィルム富山化学から販売されている薬剤です。
発熱期間が短縮し、ウィルス量がより早く減少したこと、重度の副作用がなかったことが報告されています。
しかし、この報告を喜んで良いのかは、研究のデザインと統計手法次第です。例えば、バイアスが大きければ、この研究結果で動くことはできません。中国政府の発表とはいえ、まずはデータを十分吟味する必要があります。
その肝心のデータが見つかりません。まだ少なくとも英語ではリリースされていないでしょうか。中国語などでご存知の方はぜひ教えてください。
(追記)報告の根拠になったのは、有効性の評価に必要とされる、ランダム化比較試験ではない研究のようです(以下のリンク)。ゆえに、結果はバイアスに大いに影響されうるものであり、データの信頼性はそれだけでも低下します。現時点では、世界が飛びつくことはできない結果であると推測されます。続報、論文のリリースを待ちたいと思います。
http://www.chictr.org.cn/showproj.aspx?proj=49042他の治療薬含めた臨床試験の進捗状況を纏めた記事があったので、貼っておきます。
https://answers.ten-navi.com/pharmanews/17853/
米国の臨床試験登録サイト「CrinicalTrials.gov」によると、現在、COVID-19を対象に臨床試験が行われているのは、▽抗ウイルス薬レムデシビル(米ギリアド・サイエンシズ)▽抗HIV薬ロピナビル/リトナビル配合剤(米アッヴィの「カレトラ」)▽抗インフルエンザウイルス薬ファビピラビル(富士フイルム富山化学の「アビガン」)――など。山田先生のデータ検証及び解説待ち、ですね。おそらくN.P.読者の多くがその姿勢かと。
ご自身のお仕事も忙しいのに、数多くのわかりやすい解説とエビデンスリンク等々、いつも恐れ入ってしまいます。
一刻も早く効果的な治療法が見つかる事が望ましいのですが、発症国である中国は“治療薬の発見と供給(販売)”によって、ウィルスと同時に世界中からの非難をなんとか抑え込みたいところでしょう。そう考えると安易に治療効果を期待するのは難しいかもしれません(邪推ですが)。