[ワシントン/ニューヨーク 16日 ロイター] - 米証券取引委員会(SEC)のクレイトン委員長は16日、市場のボラティリティーが著しく高まっているものの、米国の金融市場は取引を継続すると述べ、株価急落を受け政府が取引所を閉鎖するとの観測を否定した。

クレイトン委員長はCNBCのインタビューに対し、SECは市場の動きを緊密に注視しており、取引所運営会社のほか、市場インフラを提供する企業と連携して市場が確実に機能し続けるようにしているとし、「このような時期でも市場は機能し続ける」と述べた。

その上で、米株式市場で前週、株価急落を受けサーキットブレーカーが発動されたにもかかわらず、その後は秩序立って取引が再開されたと指摘。「ボラティリティーが極めて高い中でも市場は過去2週間、うまく機能してきた」と語った。

このほか、ニューヨーク証券取引所(NYSE)のステイシー・カニンガム社長はFOXニュースに対し、「投資家が自分自身の資金にアクセスを確保していることが重要」とし、取引所の閉鎖は「誤った対応」と指摘。ナスダックのアデナ・フリードマン最高経営責任者(CEO)はCNBCに対し、取引所が動いていることは「極めて重要」との見解を示した。

米連邦準備理事会(FRB)は15日、新型コロナウイルスの感染拡大による影響に対応するために再び緊急利下げを決定。今月3日の緊急会合で決定した50ベーシスポイント(bp)の利下げに続き、100bpの利下げを決定し、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0─0.25%とした。

ただそれでも米株式市場の動揺は収まらず、この日は寄り付きから株価は急落。一部市場関係者の間では、市場の動揺に対応する手段が枯渇する中、次のステップは取引所の閉鎖になるとの見方も出ている。

シティグループ・グローバル・マーケッツのアナリスト、ウィリアム・オドンネル氏は「自己増殖的な株安を防ぐために、株式市場の閉鎖が次のステップになると考えることは誤りではない」とし、「現在はウイルスに対する世界大戦に入っているため、取引所の閉鎖はそれほど現実離れした考えではない」と述べた。

取引所の閉鎖はそれほど頻繁に起こることではないが、NYSEはハリケーン「サンディ」の接近に伴い2012年10月29─30日に取引を停止している。