【iRobot創業者】ロボット掃除機で狙う「スマートホームのハブ」

2020/3/17
ロボット掃除機「ルンバ」で有名な米ロボット専業メーカーのiRobot(アイロボット)。
1990年にマサチューセッツ工科大学(MIT)のロボット学者たちが設立し、2005年に上場。今では世界でも屈指のロボット専業メーカーとなっている。
ロボット掃除機の世界シェアは実に半分を占め、独走している。日本国内に限ればさらにシェアは拡大し、実に74%を誇る一強状態だ。
2019年12月期の売上高は12億1400万ドル(約1280億円)で二桁成長を続けている。ただ、売り上げに占めるロボット掃除機の割合は91%と、「一本足打法」が続く。
そうした中で、iRobotは2月19日、デザインを一新した最新のロボット掃除機「ルンバs9+」を発表。これまでこだわってきた丸型をやめて「D」の形に変更。
「ルンバs9+」の実勢価格は18万6880円(税込)と、かなり強気の価格設定となっている。
「今はロボット掃除機にすぎないが、未来のルンバはより快適に、掃除を超えた役割を果たすことになる」
そう語るのは、アイロボット共同創業者のコリン・アングルCEO(最高経営責任者)だ。
IoT(モノのインターネット)や人工知能が発展し、家が「スマートホーム化」していく中で、人々が普段どう暮らしているのかという「家の情報」はより重要になっていく。
この分野は、GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)もまだ到達できていない分野だ。
iRobotのルンバは、巨大IT企業が行えない独自のアプローチで「家の情報」をかき集め始めている。NewsPicks編集部はコリンCEOに直撃し、新製品に込めた思いと、iRobotが目指す未来を聞いた。
コリン・アングル(Colin Angle)iRobot共同創業者CEO
1967年生まれ。1990年、同じMIT(マサチューセッツ工科大学)人工知能研究室出身の、ロドニー・ブルックス、ヘレン・グレイナーと共にiRobotを設立。1997年に火星探査ロボットをデザインし、「NASAGROUP Achievement Award」受賞。その後も家庭用ロボット「ルンバ」や政府用ロボット「パックボット(PackBot)」などを生み出し、ロボット産業界で独自の地位を築く(撮影:岩田 陽)

「我々は常に顧客視点で考えてきた」

──「ルンバ」は、ロボット掃除機市場で世界で52%、日本で74%という圧倒的なシェアを占めています。「ルンバ」はなぜ支持されているのでしょう。
アングル 前提として我々は、掃除機ではなく「ロボット」を作っています。