欧州株が記録的な大幅安、米国の欧州渡航制限にECB決定が追い打ち
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欧州は、様々な悪材料と政策の限界が一気に噴出しました。
まずは、昨日ドイツのメルケル首相が、人口の6〜7割が感染も、と発言。イタリアは一部の生活に必要な店舗を除き一斉閉鎖を命じました。
次に、トランプ大統領の欧州渡航制限。欧州は、域内の自由な往来を可能にしているシェンゲン協定の提示に踏み切れません。このため、やむなく26か国全ての渡航を制限したと見られます。
そして、少し前に、ドイツ銀行がAT1債 (資本性を持つ債券) の返済をスキップすると発表し、改めて、欧州の金融機関の脆弱さを意識させました。なお、一部に誤解もあるようですが、これは契約で認められているもので、金融機関のデフォルトには当たりません。
そして、トドメを刺したのがECB。金融機関の苦しさもあり、マイナス金利の深掘りが出来なかったことで限界を露呈しました。
今後欧州は、財政規律ルールに一旦目をつぶって、なりふりかまわぬ財政政策を打つことになるでしょう。
しかし、これまでのショック後の回復の鉄則は、問題の根源の解消です。市場の本格反転は、感染抑制に加え、いつ、経済活動の制限が解かれるか。今のように、まだ活動制限が強化されているているうちは難しいでしょう。「今回のウィルスショックはリーマンショックや東日本大震災以上。客がいない。出口がみえない。つぶれるタクシー会社がでてくる」と東京のタクシー運転手さんの切実な声。
世界中で同様の事態になっています。イタリアから北上するウィルス・ショックは欧州経済を凍らせてしまう恐れがある。それを織り込んでの欧州株大幅安。そして米国株大幅安。
金利を下げ、通貨供給量をあげても、その効果は限定的。株価をあげる治療薬がみつかりません。
やはり、新型コロナにキク治療薬がでてくることが、景気回復の特効薬。これまでのあらゆる危機では、世界が協調することで乗り切ってきた。リーマンショックだろうと、米国同時多発テロであろうが、危機時には世界は協調した。しかし、今回は自国民を守るために、こうした渡航制限などの対策がやむなく取られる。お互いが自国ファースト策を取らざるを得ないため、各国の関係がギスギスしており、協調的な雰囲気が感じられない。それが、今回の難しいところ。
それは欧州域内でも顕著だ。イタリアとの人の移動を制限したり、停止する域内国が増えている。欧州内でもギスギスしたムード。なんとも厄介なことだ。