BMWのハイブリッド・スポーツカー「i8」、4月中旬に生産終了。数々の名車との写真を公開
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BMW i8とは何者なのか
BMWのリアミッドシップの市販車は非常に珍しい。
1978年発売のM1以来だ。
そして、通常乗用車とは違う専用設計のシャシーを与えられたのも、M1以外に例が無い。
M1は当時のスポーツカー選手権グループ4規定をターゲットに開発されたクルマである。だが、シャシー製造委託したランボルギーニの遅延により、結局グループ4の資格(24カ月間に400台生産)を取れたのは、グループCに規定が変わる直前。つまりは大失敗なわけだった。
i8は何を目的としたのか。
ご存知のようにi8はレースに出ない。
それどころか、スポーツカーでもない。
一つは新素材による車体コンストラクションへの挑戦だろう。
i8およびi3は主要構造体をカーボン(上体)およびアルミニウム(床)で構成している。
床ドライブトレーン以外の上体についてはRTM(高圧樹脂注入成型)法で作られたCFRP製。
通常CFRPは大きく二種類に分類され、一つはドライカーボン。オートクレーブ法で作られた、炭素樹脂を高圧の窯で数時間焼くやつ。超高剛性だが、超高く量産は不可能。
もう一つはウエットカーボン。炭素繊維を樹脂で固めたやつ。こっちはお手軽で自動車向け量産はみんなこちら。ただ剛性は炭素繊維の引っ張り頼み。硬くない。
で、i8およびi3は高剛性と量産化を両立する為にRTM法を使用。簡単に言えば成型時に高圧で樹脂を型に入れて、型を加熱してオートクレーブに近い形とする方法である。
更に、構造接着剤を多用して、部品単位で成型できるようにした。
この新素材、新製法、製造のスタディ。
もう一つはドライブトレーンの再構築。
1気筒500ccのモジュラーエンジンで3気筒1500ccとして、ハイブーストなターボ過給で231馬力。コレをリアミッドシップに置きZF6HP型ATで後輪を駆動。
前には143馬力(後期)のモーターを1機置き、前輪を駆動。
要は、たった3気筒とモーターで(ギリギリ)スーパーカー風の動力性能と低燃費を実現すると言うスタディ。
つまりは、スーパーカーと言う建て付けで実施した先行技術テストベッドなわけである。
速けりゃいいんでしょ?
と言わんばかりの姿に多くのスポーツカーファンはこのクルマを全く認めていないし、BMWも大赤字だろう。
しかし、BMWの今後の為には必要なクルマである。2009年発表の車。もちろん大量に売れるタイプの車ではないが、その先鋭的なデザインは今も色あせないと思う。
好き嫌い分かれるデザインだと思うが、自分は結構好き(見る分には、という話だが)。