[ドバイ/モスクワ 11日 ロイター] - 石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」の協調減産を巡る協議決裂を受け、サウジアラビアに続きアラブ首長国連邦(UAE)も11日、産油量を4月から増加させると表明した。原油価格急落の要因となったOPECとロシアとの対立が一層深まる恐れがある。

サウジとUAEが表明した増産幅は世界の原油供給量の3.6%に相当。新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の停滞で世界的な原油需要の減少が予想される市場に一段と供給圧力が強まることになる。

サウジのエネルギー産業鉱物資源省は国営のサウジアラムコ<2222.SE>に対し、生産能力を日量1200万バレルから同1300万バレルに引き上げるよう指示した。同社のアミン・ナサール最高経営責任者(CEO)が声明で明らかにした。

声明は「サウジアラムコはできるだけ早くこの指示を実行に移すために最大限努力している」としている。

サウジの生産能力拡大は10年以上ぶり。同計画には多額の投資が必要で、具体的なタイムテーブルは示されていない。ナサールCEOは10日、サウジが4月の原油供給を日量1230万バレルに引き上げると発表。ロシアが提案した話し合いを実質的に拒否した。

UAEのアブダビ国営石油会社(ADNOC)[ADNOC.UL]は11日、4月から産油量を日量400万バレルを超える水準に増加させると表明。その後は日量500万バレルまで引き上げるとした。サウジとロシアの対立により9日に原油相場は25%急落し、新型コロナウイルスの感染拡大ですでに打撃を受けていた世界の株式市場をパニックに陥れた。  サウジは過去数カ月間、産油量を日量970万バレル前後に維持してきたが、増産余力があるうえに、数億バレルの備蓄もある。  ロシア政府は同国の石油会社が日量30万バレル増産する可能性があり、最大で50万バレルの増産も可能との見方を示している。

ロシアのノバク・エネルギー相は11日、サウジの増産計画は「最善の選択肢ではない」とし、ロシアはOPECとの協議の可能性を排除していないと述べた。しかし、ソロキン次官は、減産の選択肢もないとの認識を示した。ロイターに対し「(需要の)底が明確でない状況において需要低下に対応することはできない」と語った。

ロシアは、原油価格を下支えしても、単に割高な米国の生産拡大を助けることになるだけだ、との立場をとっている。

北海ブレント先物<LCOc1>は11日の取引で1バレル=36ドルをやや下回る水準となった。週初に付けた31ドルからは上げているが、年初来では約45%下落している。

*内容を追加しました。