【丸井・青井社長】僕が「売らない店舗」でD2Cに夢中になる理由

2020/3/12
小売大手の丸井グループは百貨店業の中で売上高7位ながら、営業利益は1位で、業界の苦境から一歩抜けている。
出処:各社IR資料
丸井の利益率が高いのは小売業とフィンテック2つを本業として持ち、時代に合わせてビジネスモデルを変革してきたからだ。
そんな丸井グループが今唱えているのは、モノを売る場所である店舗において、あえて、目の前の売り上げを追いかけない構想だ。
「売らない店舗」──。
丸井グループの青井浩社長は、2018年にNewsPicks編集部の取材に対して「売らない店舗」に関する構想を明かしている。それから2年。消費の大きな変化と、マルイの戦略がカチッとはまりつつある。

その潮流とは何か。
メーカーがインターネットを通じて消費者と直接つながるD2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー、ネット直販)の隆盛だ。
丸井はこのD2Cに賭け、一緒に新しいエコシステムを作ると宣言。2020年2月にD2Cブランドへの投資などをおこなう子会社D2C&Co.(ディーツーシーアンドカンパニー)を設立した。
D2Cブランドへの投資は、3年間で30億円の出資を計画している。
マルイグループ発表資料から編集部作成
丸井はなぜ、D2Cに賭けるのか。NewsPicks編集部は、丸井グループの青井浩社長に直撃した。
青井浩(あおい・ひろし)丸井グループ社長/1961年生まれ。祖父は丸井創業者の青井忠治。父は2代目社長の青井忠雄。慶應義塾大学文学部卒、パリ第4大学に留学後、1986年丸井入社。営業企画本部長、常務取締役を経て、2004年に副社長就任。2005年より現職。

「売らない店舗」到来の確信

──D2Cブランドの支援を始める狙いは何ですか。