【丸亀製麺 社長】コロナ直撃、外食産業が生き残る道

2020/4/26
新型コロナウイルスの感染拡大防止策に伴う営業自粛、休業要請によって、甚大な打撃を受けている飲食業界。釜揚げうどんチェーン「丸亀製麺」で急成長を遂げてきたトリドールホールディングスの粟田貴也社長もまた、嵐の真っ只中に立つリーダーの一人だ。

吹きすさぶ風を受けながらも、意外なほどに彼の目は輝いていた。危機に際し、一層揺るぎないものになったと語る「仕事の哲学」とは。インタビューは4月9日、オンラインツールを駆使して行われた。(全7回)
粟田貴也(あわた・たかや)/トリドールホールディングス 社長兼CEO
1961年神戸市生まれ64年に兵庫県加古川市に転居。中学生の時に父親を亡くし、兄と共に母を助け生計を立てる。81年に神戸市外国語大学に入学するが、翌年中退。運送会社のドライバーをして資金を貯め、85年に焼き鳥居酒屋「トリドール三番館」を開業。2000年セルフ式うどんチェーン「丸亀製麺」を開業。以降「丸亀製麺」を中心に年間100店舗以上のペースで出店を続け、06年東証マザーズに上場、08年東証第一部に上場する。海外展開や合併・買収を推し進め、15年にグループで1000店舗を達成した。

状況は非常にシビア

故郷・兵庫県加古川市に「丸亀製麺」の1号店を開いたのが20年前のこと。
以来、社員一丸となって「手づくり・できたて」にこだわって、お客様を笑顔にする食体験を追求し、国内外に1100店を出すチェーンにまで成長することができました。
2019年には渋谷に本店オフィスを移し、さらなる世界展開に向け、エンジンを吹かそうとしていた矢先に、この新型コロナウイルスの問題が直撃しました。
正直、状況は非常にシビアです。
休業や営業時間短縮を決断することは、売り上げに多大な影響を与えますし、私たちが提供するうどんを生活の一部として親しんでくださっているお客様には、申し訳ないという気持ちでいっぱいです。
おこがましいようですが、私たちは生活インフラの提供者としての役割も担っていたのだと社会的責任を感じているところです。
苦渋の決断ではありますが、今は大局を見て、一刻も早い収束のために社会と団結し、お客様と従業員の安全を守ることを第一に、一時を耐え忍ぶしかないと考えています。

飲食業界の新たな真価が試される

一方で、私は悲嘆に暮れているばかりではありません。
今こそ、日本の飲食業界の新たな真価が試されるときだと、気持ちは前に向いています。
この数週間の間に、人々のライフスタイルは大きく変わりました。