【太刀川英輔】新型コロナ対策情報サイトを“デザイン”した男

2020/5/3
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により発令された緊急事態宣言に先駆けて、パンデミックから命をまもるための対策情報サイト「PANDAID(パンドエイド)」が始動した。サイトは、デザイナー/デザインストラテジストの太刀川英輔氏が発起人となり、太刀川氏が率いるデザイン活動体「NOSIGNER(ノザイナー)」によって非営利で自主運営されている。

PANDAIDをはじめ、NOSIGNERが主導・参画するプロジェクトでは、産官学民との共創によって、「ソーシャルイノベーション=社会や未来により良い変化をもたらすためのデザインを生み出すこと」を実現している。

「デザイン」と聞くと、専門領域の人が手がけるものづくりをイメージするかもしれない。しかし、太刀川氏は「デザインは誰もが持てる力であり、ビジネスにも生かせる知恵」だという。そのための方法論として「進化思考」を提唱し、未来のイノベーターを増やす活動にも注力している。

NOSIGNERが携わったプロジェクトをたどりながら、そこに息づく哲学をひもとき、ビジネスシーンにおけるデザインのあり方を語る。(全7回)
太刀川英輔(たちかわ・えいすけ)/NOSIGNER 代表、デザインストラテジスト、慶應義塾大学 特別招聘准教授
慶應義塾大学大学院理工学研究科修了。在学中の2006年にデザイン活動体「NOSIGNER(ノザイナー)」を創業。「ソーシャルデザインで美しい未来をつくる(デザインの社会実装)」「発想の仕組みを解明し変革者を増やす(デザインの知の構造化)」の2つの目標を実現するため、次世代エネルギー・地域活性・伝統産業・科学コミュニケーションなど、SDGsに代表される分野で多くのデザインプロジェクトをマルチセクターの共創によって実現。プロダクト・グラフィック・建築・空間・発明の領域を越境するデザイナーとして活動する。グッドデザイン賞金賞(日本)、アジアデザイン賞大賞(香港)など100以上の国際賞を受賞。グッドデザイン賞・DIA Award(中国设计智造大奖)・WAF(世界建築フォーラム)など多くの国際賞の審査委員を歴任する。主な仕事にOLIVE・東京防災(東京都)・山本山・横浜DeNAベイスターズ・YOXO(横浜市)・MOZILLA FACTORY・aeru・越前漆(鯖江市)など。また、デザインや発明の仕組みを生物の進化から学ぶ「進化思考」を提唱し、デザイン教育者として日本の大企業・行政・社会起業家のセクターの中に変革者を育成している。著書に『デザインと革新』(パイ インターナショナル)など。
新型コロナ対策情報サイトを始動
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がパンデミックと化すなかで、いてもたってもいられずに、パンデミックから命をまもるための対策情報サイト「PANDAID」を立ち上げました。
PANDAIDは、デザイン活動体「NOSIGNER(ノザイナー)」の代表である私、太刀川英輔が発起人となり、NOSIGNERが非営利で自主運営している共同編集型のウェブサイトです。
パソコンとGoogleアカウントがあれば、誰でも編集に参加できるウェブサイトで、「多くの人を助ける有用な情報を届けたい」という思いをともにする有志のボランティアの方が約200人(2020年4月20日時点の登録数)集まり、医師や編集者、デザイナーなど多くのプロフェッショナルのみなさんと続々とコンテンツを拡大中です。
コラボレーションのあり方も大変面白く、オンライン会議システムのZoomでボランティア向けのオリエンテーションを実施。専門や得意分野を生かせるチームに入っていただき、プロジェクト管理ツールのAsanaでタスクの進捗(しんちょく)を管理・共有しながら、Google Siteで共同編集しています。
クラウド化が進んだ現代ならではのコラボレーションといえそうです。
PANDAIDは、新型コロナウイルス感染症から「命をまもる」という世界共通の課題に立ち向かうために、必要な情報を集約して発信していくことを目的としています。
海外には、米国CDC(疾病対策センター)の「Coronavirus(COVID-19)」のように、必要な情報を網羅的に発信しているサイトがあります。
ところが、日本では情報が個々に発信されていて、それぞれにアクセスしなければ届かない状況に歯がゆさを感じていました。そこで、米国CDCの情報サイトのような役割を担おうと、PANDAIDを制作しました。
現在はかなり情報がそろってきたので、日本でもトップレベルにわかりやすいコロナ対策サイトになっていると自負しています。
PANDAIDでは、新型コロナウイルスの最新情報を集める「COVID-19の現在」や、感染症のそもそもを知る「感染症の基礎知識」のほか、予防や衛生、仕事、自宅での過ごし方などにまつわる情報を発信し、アップデートしています。