[ワシントン 9日 ロイター] - 米金融市場は、新型コロナウイルス問題に伴う景気後退(リセッション)懸念と原油価格急落を背景に大混乱に見舞われている。そこで投資家やアナリストは、経済の先行き悪化がトランプ大統領の再選を阻むというシナリオを織り込みつつある。

9日の米国株は1日として2008年の金融危機以来の下げ幅を記録し、ダウ工業株30種<.DJI>は一時直近高値を20%下回って弱気相場とみなされる展開になった。

トランプ氏は繰り返し、新型ウイルス問題は大したことがないと主張しているが、市場関係者はこの問題が経済に及ぼす悪影響が11月の大統領選でトランプ氏に敗北をもたらす恐れがあると警告する。

レイモンド・ジェームズのアナリストチームは8日のノートに「大統領の再選は経済次第となる公算が大きい。COVID19(新型コロナウイルス感染症)に起因する医学的ないし経済的、もしくはその両方のショックは、彼の再選にとって最大の脅威だ。経済を守り、さらなる株安を防ぐために、大規模な財政対策を積極的に推進することがトランプ氏の一番の利益になる」と記した。

株価下落と景気悪化が長期化するほど、トランプ氏の再選が危うくなるとの声も聞かれる。スパルタン・キャピタル・セキュリティーズのチーフ市場エコノミスト、ピーター・カルディロ氏は「リセッションに突入すればどうなるかは歴史が物語っている。リセッションで再選された現職大統領は存在しない」と指摘した。

FHNファイナンシャルの金利ストラテジスト、ジム・ボーゲル氏は「新型ウイルス問題で被害を受ける人が増えていくのに伴って、この問題のイメージがより持続し、大統領選に波及しやすくなる。国家的な危機が現職にとってプラスに働くのは、あくまでも問題が手に負える範囲にとどまった場合だ」と述べた。