[9日 ロイター] - 英大手銀スタンダード・チャータード(スタンチャート)<STAN.L>は9日、2020年と21年の原油価格の見通しを下方修正した。石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」の協調減産を巡る交渉の決裂を受けた価格競争の影響は深刻で長期に及ぶとの見方を示した。

スタンチャートは北海ブレント先物<LCOc1>は20年は平均1バレル=35ドルで推移するとし、従来予想の64ドルから下方修正。21年は44ドルとし、67ドルから引き下げた。

米WTI<CLc1>は20年は32ドル、21年は41ドルとし、それぞれ59ドルと63ドルから下方修正した。

サウジアラビアが原油の公式販売価格(OSP)を引き下げ、大幅増産の計画を打ち出したことを受け値下げ競争が始まるとの見方が浮上。原油先物は9日の取引で約30%急落した。

スタンチャートはサウジは4月に産油量を日量110万バレル程度増加させるとし、その後は第2・四半期末までに日量1180万バレルまで増加させると予想。「新型コロナウイルスの感染拡大に関連した需要の減少がピークに達するのと時を同じくして供給が増加することで、原油価格の底値は短期的に極めて脆弱になっている」とした。

他の金融機関ではゴールドマン・サックスが第2、第3・四半期の北海ブレント先物の見通しを1バレル=30ドルに引き下げたほか、モルガン・スタンレーは需要の伸びの見通しを下方修正した。