【関灘 茂】「お手並み拝見」ムードから「お主、なかなかやるな」

2020/4/8
今年1月に米系経営コンサルティング会社A.T. カーニーの日本法人代表に就任した関灘茂氏。神戸大学経営学部卒業後、A.T. カーニーに新卒で入社し、同社史上最年少の32歳でパートナーに、同じく史上最年少の38歳で代表に就任した。新卒入社の日本代表も初めてだ。

エリートコースまっしぐらと思いきや、新人時代は決してできるコンサルタントではなかったという。才能あふれる同僚に囲まれながら、どんな努力や工夫を重ね、頭角を現し日本法人代表まで上り詰めたのか。

阪神・淡路大震災での被災、コンサルタントという職業との出合い、A.T. カーニーで受けた強烈な洗礼のほか、今後の戦略など、関灘氏のこれまでの人生を振り返りつつ、仕事の哲学を探る。(全7回)
プリンシパルに求められること
マネージャーとして2年半の経験を経て、29歳のときにプリンシパルというポジションになり、3年半を過ごしました。
この期間に、省庁や消費財メーカー、メディア、商社、エネルギー、不動産などの業界で、マーケティング改革、営業改革、新規事業戦略、全社戦略・投資管理など多岐にわたるテーマのプロジェクトに従事しました。
プリンシパルへの昇進前後から、「マネージャーは、クライアントの皆さんから絶大な信頼を得て、代わりに意思決定をするとしたらどう判断するかを問われ、“スタンス”を取れるか否か。プリンシパルは、複数のプロジェクトチームに関わりながらも、感動品質・世界水準を担保できるか否か」といったことをよく言われました。
プロジェクトをご一緒させていただいたパートナーによって、クライアントの皆さんに感動していただける仕事ができるかどうか、世界で最も信頼できるアドバイザーと思っていただけるかどうか、など表現は違っても、指摘されていることは同じで、「関灘は感動品質・世界水準の仕事ができているのか? クライアントの経営層に指名されるような人物なのか?」であると認識することはできていました。
また、「マネージャー以下は、プリンシパル以上が経営層と議論して組成することになったプロジェクトを実行しているが、それは経営コンサルタントの仕事のごく一部」
「クライアント企業にとって何が重要なアジェンダなのかを考え、提示し、議論し、組成すべきプロジェクトを設計できるかが重要」
「プリンシパルが経営コンサルタントのスタート地点であり、マネージャー以下はそのスタート地点に立つまでの見習い期間でしかない」といった言葉もいただきました。
経営層のお手並み拝見ムード
実際に、マネージャーであった時と比べると、プリンシパルになってからは、クライアントの経営層の方々とフォーマルにも、カジュアルにも議論をする機会が増えていきました。
私が担当するクライアント企業の経営層は、50代、60代の方々が多く、経営層の皆さんからすると、子どもを見るような感覚もあったと思います。実際に、経営層の方々のお子様と私の年齢が同じということもありました。
プリンシパルの時に出会った、「日本を変える、世界が変わる」を実現する経営リーダーであると周囲から一目を置かれている方々は、圧倒的な努力、数々の失敗からの学び、それらを糧にした成功体験、そしてさらなる挑戦への熱量などを持たれています。
だからこそ、初めて出会う私に対して、「若い経営コンサルタント。大企業での事業経験もない。起業経験もない。本当に実績はあるのか。どの程度の力量があるのか」といったお手並み拝見となる経営層の方もいらっしゃいました。
「そもそも経営コンサルタントは信頼していないし、若い経営コンサルタントはなおのこと」といった場面もしばしばありました。