[フランクフルト 3日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は新型コロナウイルスの感染拡大で影響を受けている中小企業の資金繰り支援に向けた対策を検討している。3人の関係筋が明らかにした。

方策の1つとして、中小企業向け融資を対象とした貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)の活用が挙がっている。しかし、こうしたスキームを巡り何ら決定には至っておらず、策定には時間がかかる見通しという。

ECBの広報担当者はコメントを控えた。ラガルド総裁は2日、「適切で的を絞った」措置を講じる準備があると述べている。

関係筋によると、ECBはこれまでにそうしたスキームの準備を行ったことはあるものの、まだ理事会で議論はされておらず、実行に移されるまでには十分な検証作業が必要となる見通し。

ピクテ・ウエルスマネジメントのストラテジスト、フレデリック・ダクロゼット氏は、同スキームでは、最長12カ月という短めの期間やECBの預金金利と同水準の固定金利など、特定の条件が設定される可能性があるとの見方を示した。

複数の関係筋は、ECBのスキームによって、中小企業だけではなく、規模の大きな企業も恩恵を受ける可能性があると指摘した。

また別の関係筋によると、理事会メンバーの中には新型ウイルス対策は短期的かつ概して金融政策の対象外で、ECBは行動を急ぐべきではなく、財政政策で対応するよう政府への圧力を続けるべきとの見方もあるという。

ECB理事会メンバーのホルツマン・オーストリア中銀総裁は、新型コロナウイルスへの対処を巡って、利下げは支持しないが、企業向けの低利融資は検討可能だと表明。ただ企業に対する的を絞った融資が必要かどうかとの問いに対して「検討されるだろうが、現時点では緊急性があるとは思わない」と語った。

同じく理事会メンバーのカジミール・スロバキア中銀総裁もツイッターで、直ちに対応する必要はないが、必要なら行動する用意があるとした。

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