[マドリッド 25日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのデコス・スペイン中銀総裁は25日、中央銀行の気候変動対策の主目的は市場が正確にリスクを評価できるようにすることだとの見解を示し、グリーンボンド(環境債)の発行が見境なく増え続けることに警鐘を鳴らした。

ECBは1月に、物価目標を含む政策戦略の検証を開始した。昨年11月に就任したラガルド総裁は、気候変動問題への取り組みを優先課題の1つに掲げている。

デコス総裁は「中央銀行の主な目標は、他の公共の機関と共に、市場が気候変動のリスクを正確に評価できるようにすることであるべきだ」と語った。

フランス中銀のビルロワドガロー総裁は1月、ECBは債券購入スキームを通じてグリーンボンドをただ買うのではなく、融資規則や経済予測モデルに気候変動リスクを組み込むべきだとの考えを示した。

グリーンボンドは、クリーンエネルギーや環境負荷の低い交通手段など、資金使途を環境改善に資する事業に限定した債券。

デコス総裁は、どのような金融商品を「グリーン」資産と定義するかについて議論が続いていると指摘。実際にはそうでない企業が、環境保護を重視していると世間に思わせるためにグリーンボンドの発行を増やすことを警戒している市場参加者もいると述べた。

「発行体の中には、その行動が本当に意味するものよりも、企業のイメージや責任を理由に気候変動問題を意識しているように見せようとする企業があるかもしれない。これは将来、風評の問題につながる恐れがある」と述べた。

欧州連合(EU)加盟国は、どのような金融商品を「グリーン」資産と定義するかを巡って議論を続けており、いまだ合意に至っていない。

デコス総裁は、金融の安定を維持するため、中央銀行は金融機関が正確に気候変動リスクを評価し、持続可能な経済を目指して適切な資本フローの状態を構築することに重点的に取り組むよう監督すべきだとの考えを示した。

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