[ニューヨーク 25日 ロイター] - ニュース・情報サービスのトムソン・ロイター<TRI.N><TRI.TO>は25日、ジム・スミス最高経営責任者(CEO)の後任に米情報・調査会社ニールセン・ホールディングス<NLSN.N>の元社長、スティーブ・ハスカー氏(50)を指名したと発表した。

この日発表した2019年第4・四半期決算は、コスト削減などが奏功し、営業利益が前年比60%増加した。

ハスカー氏は3月15日にCEOに就任する。スミス氏は引き継ぎ期間の後、トムソン・ロイター財団の理事長に就任する。

ステファン・ベロ最高財務責任者(CFO)も退任する。後任は、コーポレート・ファイナンス部門のシニア・バイス・プレジデントのマイク・イーストウッド氏。

ハスカー氏は、大手コンサルティング会社マッキンゼーでメディア・コンサルタントとして勤務した後、テレビ番組の視聴率調査で知られるニールセンに移籍。元同僚によるとニールセンでは、メディアのフォロー状況や消費者の購入動向のデータを収集・分析する会社への転換に寄与した。

スミスCEOはインタビューで「最も誇りとするものは、と聞かれたら、トムソン・ロイターの社員たち、われわれが日々取り組んでいることだ」と述べた。次期CEOのハスカー氏については「成長の加速や新たな計画に注力することになる。彼ならできると思う」と語った。

<予想上回る利益>

2019年第4・四半期の営業利益は前年比60%増の2億1600万ドル。調整後の利益は1億8500万ドル、1株当たり0.37ドルで、前年同期(1億0200万ドル、1株当たり0.19ドル)から増加した。リフィニティブのIBESによるアナリストの1株利益の平均予想は0.33ドル。

オーガニック売上高(為替や資産買収・売却などの影響を除く売上高)は4%増の15億8000万ドル。法務など主要3事業部門が増収となったほか、ロイターニュース部門もオーガニック売上高が5%増の1億6400万ドルとなった。

トムソン・ロイターは2020年のオーガニック売上高伸び率目標を4─4.5%で据え置いた。利益率は、昨年10月に示した予想を若干上方修正し、2019年実績も上回ると予想した。

取締役会は年間配当を0.08ドル引き上げ1株=1.52ドルとすることを承認した。

<長期成長プラン>

トムソン・ロイターは、2008年の金融危機の打撃からの回復を図るなかで、経費を削減し事業売却を進めてきた。

スミス体制のもと、ファイナンシャル・アンド・リスク(F&R)部門の過半数株式を米投資会社ブラックストーン<BX.N>に売却した。同部門はリフィニティブに改名し、ロンドン証券取引所(LSE)<LSE.L>による買収で合意した。

株価は、リフィニティブ(旧F&R)売却合意後、2倍以上に上昇。スミス氏がCEOに就任した2012年の3倍となった。

事情に詳しい2人の関係筋によると、スミスCEOによってトムソン・ロイターが成長軌道に乗ったことを受け、取締役会は長期の成長戦略を描く幹部を外部から迎えたいと考えた。ハスカー氏は、プラットフォーム構築、データを収集・分析する事業の采配を振るった経験が評価されたという。

スミス氏は、決算発表後のアナリストとの電話会見で、いまや年間売上高の約1割を稼ぐニュース事業について「伝統や思い入れ以外に多くのものがあり、それを経営陣の多くが共有している」と述べ、金融情報サービスの実績を生かし、ロイターのニュースをプロフェッショナル向けの商品に組み込みたい意向を示した。

モーニングスター・リサーチ・サービスの株式調査アナリスト、コリン・プランケット氏は、今後最大の試練は、既存事業と調和する資産の買収や成長の加速を図り続けることだと指摘した。

*内容を追加しました。