[リヤド 22日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は22日、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の開幕前の記者会見で、新型コロナウイルスによる日本経済への影響に関連して、必要であれば躊躇(ちゅうちょ)なく追加緩和をするが、現時点では情勢が不確実だとして、日本経済の緩やかな回復が崩れたわけではないとの認識を示した。まずは中国当局の話をよく聞き、同国経済の行方をよくみていくことが必要だとの姿勢を示した。

総裁は、中国経済が春節後も生産活動が停滞していることに対し、中国当局はいろいろな政策対応を取り始めているとし、早く収束すれば挽回生産が可能だろうとの認識を示した。

ただ「中国の経済活動がどうなっていくのか、よくみていかなければいけない。コロナウイルスがどういうタイミングで収束するかわからず、不確実性が大きい」とも述べた。

そして今回の会議には中国の代表団も参加しており議論も予定されているとして、まずは中国当局の話をよく聞く必要があると述べた。

日本は10-12月はマイナス成長となったが、その要因は消費増税のほか、暖冬や二つの大きな台風の影響もあったとして、これらは年後半にはけていくと述べた。さらに設備投資は景気の短期的な動きに左右されにくいものが根強く伸びていること、政府が大型の景気対策を決め、補正や本予算で対応していることなどを踏まえ、「コロナウイルスの影響は十分注意していかなければならないが、基本的に緩やかな回復軌道をたどる、というメインシナリオは変わっていない」と述べた。

また、米中貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱が完全に片付いたとはいわないものの方向は決まり、そちらのリスクは後退しているとし、そこにコロナウイルスのリスクがでてきたというのが今の状況だとし、政府はすでに観光業に影響が出る場合の低利融資等の措置をとっており、状況に応じさらに必要な対応をとると理解していると述べた。

そのうえで「日銀も必要であれば躊躇(ちゅうちょ)なく追加緩和をする」姿勢を示した。ただ「現時点で(コロナウイルスをめぐる情勢が)不確実。日本経済の緩やかな回復が崩れたわけではない」との認識を示した。

このところの円安状況については、「結局ドル高。円やユーロ、アジアの通貨がドルに対して弱くなっている」との分析を示した。そのうえで「コロナウイルスの中国経済への影響、世界経済・アジア経済にどう波及していくかということの不確実性があることは事実だが、為替の状況が質的に変わったとは考えていない」と語った。