厚労相「インフル治療薬 効果あれば使用できる環境整備」
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注目のコメント
かなり安易な発言と言わざるを得ません。
まず抑えておきたいのは、「大半のインフルエンザに治療薬はいらない」ということです。タミフルや昨今話題のゾフルーザなど色々ありますが、基本的に健康成人に投与する必要性は薄く、その効果も症状の多少の短縮がメインです。
高齢者や小児・妊婦、呼吸器基礎疾患のある方などハイリスクな方には重症化予防に有効ですが、そうでない方に用いるのはリスクがあります。
尚更このアビガンは普通のインフルエンザには用いず、他の薬で効果無効かつ必要な場合にのみ用いる、という但し書きがあり、妊婦には使えない、小児には使用経験が少なく副作用など不透明という薬です。安易に用いていいものではありません。
この様な薬ですから、例え新型コロナウイルスに有効だとしても、安易に用いる様な対応は避けるべきです。コロナウイルスも多くの方は罹患しても重症化することなく回復しますから、わざわざ副作用を織り込んでまで投与するメリットはありません。もちろん、重症化する患者に速やかに投与できる体制は整えられるのが望ましいです。
「幅広い医療機関で使える」という表現は、一般の皆さんには「誰でも処方してもらえる」と写るでしょう。これが厚労相の発言とすると、あまりに安易と言わざるを得ません。
これにより薬を求める、コロナウイルスかも分からない患者が病院に殺到すれば、間違いなく医療機関はオーバーキャパシティになり、通常診療にまで支障が出ます。
パフォーマンスか何か、意図は測りかねますが、クルーズ船の岩田氏の一件(や清潔不潔の話)など、きちんとした知識を持った医師がいればまず有り得ないような発言が、国の中心から発せられ続けています。
この現状に強い危機感を覚えます。アビガンとは一般名でファビピラビルである。ロイター通信(英語)の記事によると、中国の企業が臨床試験をするとしている。
https://www.reuters.com/article/brief-corrected-zhejiang-hisun-pharma-ge-idUSL4N2AH0C8
作用メカニズムを考えると効果がある可能性はあるものの、現時点では有効性は不明である。
(追記
なお、海外では80以上の臨床試験がすでに行われているという話をnatureが報じている。https://www.nature.com/articles/d41586-020-00444-3
時期が今更というのもあるが、臨床試験を行う薬の例が種類がわずか一つであるのは、効果が無かったときのリスク管理として甚だ疑問である)
この記事で非常に気がかりなのは、一般名ではなく「アビガン」という商品名で報道している点である。有効性が明らかになっていないこの状況で具体的な医薬品の名称を公の場で発言することは国民や現場を混乱させる恐れがあり、不用意ではなかろうか。
さすがに広告目的ではないと思うが(※薬機法では、いかなる者も一般集団に対して医療用医薬品の宣伝を行うことを禁じている)。なぜアビガンだけ固有名詞だしたんやろうか。。
あと、もし有効な薬があったとしても、
あくまで重症化を防ぐために一部の感染者に必要なだけと思うけど、
そこは、実際使用するとなった場合は強調しておかないと。
副作用でやすく、インフルエンザに対してもほかの薬が効かない時にしか処方しない薬で、
念のため投与するレベルの薬ではないので。