【斬新】パナ×トヨタは、「ローテク」のスマートシティで勝つ

2020/2/25
世界各地で注目されるスマートシティ。
2020年代のスマートシティは、デジタルデータとAI(人工知能)を駆使した快適空間であり、自動運転車が普及する近未来の街であるという点で期待が高まっている。しかも、スマートシティ開発に乗り出す企業も多種多様だ。
そんな時代にあって、パナソニックとトヨタ自動車の住宅事業を統合した新会社「プライムライフテクノロジーズ」が、1月に発足した。住宅事業のコラボと思きや、この新会社が狙っているのも、実は、スマートシティだ。
自動車のトップメーカーのトヨタ、家電やネットワークカメラなどセンサー機器を手掛けるパナソニックという、テクノロジー企業同士のタッグを活かし、住宅にとどまらず、都市開発を目指すというのだ。
だが、意外にも、スマートシティの成否のカギを握るのは、AIや5Gといった先進テクノロジー以外にあるという。
そこで、プライムライフテクノロジーズの新社長に就いた北野亮氏を取材。テクノロジーで「くらしのあたりまえをかえていく」をスローガンに掲げる同社だが、その裏で盲点となっているローテクの重要性を含め、これからのスマートシティや自動運転社会の姿に迫った。
住む権利を売る
──「当たり前を変える」の「当たり前」とは何でしょう。
これまでの住宅メーカーは、新築の家を作って売ることに重点を置いてきたわけですね。この「家を売らんがためのビジネス」を大きく変えていく必要があります。
これまではお客さんも、ずっとそこに住むことを前提に、家を購入してきたケースが大半かと思います。
でも、平日は都市にいて、土日に両親のいる地方で暮らす人もいます。一方で、(転勤などによって)平日は地方にいて、土日は都市にいる人もいます。
じゃあ、家を2つ持つかというと、それは無理です。だったら、2カ所、3カ所に住む権利を提供する。そんなビジネスがあってもいいかも分かりませんね。
──所有から利用へ。つまり、シェアリングビジネスということですね。