[フランクフルト 20日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)が20日に公表した1月理事会の議事要旨では、政策当局者がユーロ圏の経済成長率見通しについて慎重ながらも楽観的な見方を示したことが分かった。

ECBは1月23日の定例理事会で主要政策金利を据え置いたが、世界的な貿易摩擦の緩和などを受け、インフレ圧力が強まり、成長を巡るリスクが後退していると主張した。

議事要旨では、「これらの前向きな兆候を認識することは重要であると感じられ、遅すぎるリスク評価の変更を避けるために注意を払う必要がある」と指摘。「しかし、楽観的になりすぎることについても懸念が示された」とした。

また「入手される経済指標や調査情報はユーロ圏の成長動態の安定化を示している。目先の成長率は前四半期と同程度になると予想される」とした。

それでも成長率は依然として潜在成長率を下回る見込みで、継続的な弱さを示唆している。

インフレ圧力の強まりについても、やや楽観的な見方を表明。基調的なインフレ率を示す一部の指標に持続的な上昇傾向が見られるとした。

金融政策の副作用について詳細な議論はされなかったもようだが、一部のメンバーが不均衡に関する懸念を指摘。住宅価格の上昇が金融システムをより脆弱にする可能性があり、局所的な対策ではこの問題への対処は不十分である公算が大きいとしたほか、株価の上昇は収益改善を反映しているものではないようで、バリュエーションが実体経済から切り離されているかもしれないとした。

ECBが今年に政策戦略の見直しを行う際、ECBの政策が自動操縦になるとの批判に対しては、広範な見直しは独立して行われ、今後の政策決定の制約になることはないと強調した。

ただ今回の議事要旨では、政策立案者が見直しについて詳細に議論していなかったことが示された。

次回理事会は3月12日の予定。新型コロナウイルスの感染拡大を考慮し、リスクが重要視されることが想定されるが、政策変更は見込まれていない。