(ブルームバーグ): ソフトバンクグループ株が続伸した。同社は19日、子会社の国内通信大手ソフトバンク株を担保に、最大5000億円を借り入れると発表。アナリストからは、再度の自社株買い実施の環境が整ったとの分析や投資ファンドの資金に使われるとの見方が出ている。

20日の日本株市場で、株価は一時前日比3.6%高の5544円まで上昇した。

期間は最長3年。 国内外金融機関16社から2月25日に借り入れる。借り入れ目的は手元資金の拡充のためと広報担当者がブルームバーグの電話取材で明らかにした。金融機関名は非開示としている。

シティグループ証券の鶴尾充伸アナリストは英文リポートで、「今月末までに時価総額の5%に相当する自社株買いを柔軟に実施できる状況にある」とし、「株価にはプラス」と評価した。

英調査会社ニューストリート・リサーチのアナリスト、クリス・ホーア氏は借り入れ資金をビジョン・ファンドの準備段階である「ブリッジファンドに使用できることを示唆している可能性がある」とみている。

今回の借り入れはマージン・ローンと呼ばれる手法で、ソフトバンクGが保有するソフトバンク株31億8292万株のうち、9億5300万株(19日終値で1兆4000億円相当)を100%子会社の日の出1号に貸し出し、日の出1号が金融機関から借り入れる形態を取る。

ソフトバンクGでは18年にも、保有する中国の電子商取引会社アリババ・グループ・ホールディングの株式を担保にしたマージンローンで約80億ドルを借り入れた経緯がある。

ソフトバンクGは、同社株を30億ドル(3300億円)近く取得した物言う株主の米エリオット・マネジメントから最大200億ドルの自社株買いを求められている。また、昨年10月にはシェアオフィス事業を手掛ける米ウィーワークへの総額約1兆円の支援策を発表した。

孫正義社長は12日の決算会見で、資金の余裕がある状態での自社株買いは「基本的な私の考えと一致する」と発言し、社債格付けとのバランスを見ながら「タイミングと規模は今後考える」と述べた。同社は、今年6月と11月に合計1500億円の普通社債の償還を控えている。

決算短信によると、ソフトバンクGが2019年末時点で保有する現金・現金同等物は3兆8047億円で、連結有利子負債とリース負債の合計額は19兆2500億円。負債は、同年3月末時点からおよそ3兆5000億円増えていた。

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