【納得】なぜ我々は「不合理な選択」をしてしまうのか

2020/2/29
本の要約サイト「フライヤー」とコラボし、毎週土曜日に話題のビジネス本の要約をお届けする「10分読書」。短時間で本の中身を学ぶことができ、現代のビジネスパーソンにぴったりの内容になっている。
ぜひ、週末のひとときで新たな知識を手に入れてほしい。
よく言われるのだが、どうやら私(今回紹介する本の著者)は、人とは違ったふうに世界を見ているらしい。
この本を通じての私の目標は、自分やまわりの人たちを動かしているものが何なのかを根本から見つめなおす手助けをすることだ。
ある18歳の金曜の午後のことだ。一瞬のうちにすべてが取り返しのつかないほど大きく変わってしまった。
夜間に戦場を照らすためにかつて使われていたマグネシウム光が炸裂し、私は全身の70%に3度のやけどを負った。
それから3年の間、私は全身を包帯に覆われたまま病院で過ごした。
事故の後、病院でさまざまな種類の痛みをたっぷりと経験した。社会から半分切り離されたように感じた。
そのため、以前は自分にとって当たり前だった日々の行動を、第三者のように外から観察するようになった。
長期の退院ができるようになると、私はすぐにテルアビブ大学で学びはじめた。
ハナン・フレンク教授の大脳生理学の授業が、研究というものに対する私の考えをすっかり変え、その後の人生をほとんど決めてしまった。
私の仮説は間違っていることが分かったが、そのことを実験によりしっかりと確認できた。
興味のあることを確かめる手段と機会を科学が与えてくれることを知り、私は人間の行動を研究する道にはまっていった。
私は人が痛みをどのように経験するのかという問題に取り組んだ。私はやけど治療において、患者に苦痛の少ない包帯のはがし方を研究し看護師に提案した。
何人かの看護師は私の提案通り処置するようになったが、大々的に変わることはなかった。
私の提案を実践すると、看護師が痛みに絶叫する患者を前にする時間が長くなってしまうからだろう。
経験豊富な看護師が、患者にとっての現実を取り違えてしまうのだとしたら、他の人も同じように自分の行動の結果を取り違えたり、そのせいで、繰り返し判断を誤ったりするのではないか。
私は失敗を繰り返してしまう状況について研究しようと決めた。

経済学が見落とす「人間性」