[パリ 19日 ロイター] - フランス検察当局は19日、自動車大手ルノー<RENA.PA>の前会長カルロス・ゴーン被告が会社資金を不正使用した疑惑について、容疑者の拘束や国際手配などの権限がある予審判事に捜査の指揮を委ね、本格捜査を開始すると発表した。

パリ近郊ナンテール検察は昨年から、ゴーン被告が妻のためにベルサイユ宮殿で開いた祝宴の費用などを巡り捜査を進めていた。

今後は、予審判事が、ルノーや特定の人物に絡む複数の疑惑を捜査する。関係筋によると、特定の人物にはゴーン被告が含まれる。検察によると、ルノーとオマーンの販売代理店の間の資金の流れや旅行およびイベントの費用に関して不正が疑われている。

ゴーン被告の弁護士ジャンイブ・ルボルニュ氏はロイターに対し、弁護側の主張を説明する機会が与えられるのを歓迎するとコメント。「捜査資料の開示をやっと受けられることになれば、その後に予審判事に対してわれわれ側の説明を行う」と述べた。

ゴーン被告は日本で金融商品取引法違反などの罪に問われ、保釈中にレバノンに逃亡。これまで繰り返し、不正を否定している。

仏検察は、ゴーン被告が2016年に開いた妻の誕生パーティーの費用として、ルノーの資金と認識して充てたかどうかについて捜査を進めてきた。

被告の弁護団はこれまで、不正はなかったが、誰が費用を負担するかについてベルサイユ宮殿側とパーティー企画者との間に誤解が生じていた可能性があると述べている。

司法筋によると、2014年にベルサイユ宮殿で開かれた日産・ルノー連合の15周年を祝うパーティーも、捜査対象になる見通し。

ゴーン被告は1月の記者会見で、パーティーに招待されたゲストの大半が被告の友人と親族だったとの疑惑を否定し、取引先が招待されたと述べている。パーティー費用は、オランダにある企業連合の統括会社「ルノー日産BV(RNBV)」が負担した。

ルノーはゴーン被告に関する社内調査を行っており、昨年、調査で得た情報を検察に引き渡していた。

*内容を追加しました。