[パリ 18日 ロイター] - 経済協力開発機構(OECD)は国際的な社債の動向に関する報告書を取りまとめ、社債の発行残高が過去最高水準に膨れ上がり、世界的に格付けの低い社債の残高が積み上がって、企業の返済負担が増えていると警鐘を鳴らした。

OECDによると、金融機関を除く企業が発行した社債の残高は2019年に過去最高の13兆5000億ドルに達した。

OECDは報告書で「過去の信用サイクルと比較して、現在の社債の発行残高をみると全体として信用の質がより低く、返済負担が重く、償還までの期間が長く、保護規定が劣っている」と指摘。

2019年1月にそれまで金融緩和からの出口戦略を進めていた米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が方針を転換し、利上げを急がない姿勢を示すなど、低金利環境に回帰したことを受け、金融機関を除く企業は2019年に記録的な額の社債を発行した。

OECDは、政策当局者が金融政策の根拠となるシナリオの転換を検討する際、社債市場の規模と質を考慮に入れる必要があるとの見解を示した。現在の社債市場は「景気の悪化が金融以外の企業セクターおよび経済全体にもたらすマイナスの影響を増幅する恐れがある」と警告した。

2010年以降、毎年発行される社債の約5分の1が投資不適格級だったという。また、過去3年間、新規に発行された社債の半分が投資適格の中で最も信用力が低いBBBの格付けを付与されている。

低金利の支えがなくなったり、景気が悪化すれば、これまで借り入れを増やすことを可能にしてきた同じ格付けメカニズムによって今度は格下げされ、企業の借り入れコストが増えて、投資余力が限定される恐れがあるとOECDは指摘している。