[ソウル 18日 ロイター] - 韓国のサムスン電子<005930.KS>は、新製品を試したい顧客向けにスマートフォンの宅配サービスを開始した。新型コロナウイルスを巡る状況を踏まえ、販売促進イベントを中止する中、店舗の売り上げ不振が見込まれることが背景。

世界のスマホ業界は、中国を中心とした新型コロナウイルスの感染拡大によって最も打撃を受けているIT(情報技術)セクターの一角で、事業への影響を最低限にとどめるべく対策に取り組んでいる。

アナリストによると、世界最大のスマホ市場である中国の需要は新型ウイルスの影響により、第1・四半期に半減する可能性がある。

米アップル<AAPL.O>は17日、新型コロナウイルスの感染拡大が中国での同社製品の生産と需要の両方に影響を与えているため、1─3月期の売上高が会社予想に届かない見通しだと発表した。

また、中国のスマホメーカー、小米科技(シャオミ)<1810.HK>は国内全土で旅行や大規模集会が規制されていることから先週、スマホ発表イベントのライブ配信を余儀なくされた。

先週に新たな折り畳みスマホや旗艦機種「ギャラクシーS」の新モデルを発表したサムスン電子も、実店舗でのマーケティングを縮小。新型ウイルスの感染拡大への懸念から、店舗内で最新機種を試すことができるコーナーの大幅削減や、「ギャラクシー・ファン・パーティー」などの販促イベントの見送りを決定した。

サムスンのウェブサイトによると、新モデル「ギャラクシーS20」の体験コーナーは9カ所となる。「ギャラクシーノート10」シリーズの際に設けた130のコーナーを大幅に下回る。

複数の関係筋によると、「S20」を試したい顧客には自宅までスマホを配達し、最大24時間の利用を可能にするという。利用可能時間が終わると配達員が訪問し回収する。

関係筋の1人は「コロナウイルスの問題により店舗での体験が少なくなることから新サービスを導入している」と語った。ただ、このサービスを利用できるのは韓国国内の一部地域に限定される可能性があるという。