赤字でもないパナソニックが、事業リストラに走る真相

2020/2/20
パナソニックが、事業の撤退や売却を続々と打ち出している。
まず、液晶パネルの生産を止め、半導体事業の売却を決めた上に、太陽電池事業は中国企業に資産の大半を売却した。
成長のけん引役だったはずの車載電池事業ですら、その一部をトヨタ自動車の傘下に移す。こうした経営判断は、かつての経営危機時代を彷彿させる。
パナソニックといえば、プラズマテレビや液晶テレビなどの投資戦略で失敗し、2012年3月期と2013年3月期に合計約1.5兆円の最終赤字をたたき出した。そして、プラズマテレビなどのデジタル家電事業を撤退・縮小するなどして、経営再建を進めてきた。
その後は業績が回復し、2019年3月期までは2期連続で増収増益だ。
この2020年3月期は米中貿易摩擦の影響もあって減収減益になる見込みだが、赤字に転落したわけではない。
にもかかわらず、事業リストラにまい進するパナソニックは今、経営危機にあるのか。
そこで今回、現在の会計基準による「利益」では見えない、本当の稼ぎの実態をあぶり出し、パナソニック経営の「ヤバさ」の本質に迫る。

増収増益なのに「猛省」

「売り上げは伸びたが、事業から創出される利益が下回ってしまった」
遡ること2019年5月。
パナソニックが開いた経営方針説明会は、津賀一宏社長にとって「猛省」を表明する場だった。これまでの経営戦略がうまくいっていないと認めた格好だ。