[東京 17日 ロイター] - 前場の東京株式市場で、日経平均は前営業日比150円56銭安の2万3537円03銭となり、続落した。引き続き新型コロナウイルスの感染者増加による実体経済への影響が懸念されているほか、朝方に発表された実質国内総生産(GDP)が5四半期ぶりのマイナス成長となるなど、買い材料に乏しい相場となった。

新型肺炎の患者は日本国内でも拡大し、政府が16日開催した有識者会議は「国内発生の早期」との認識を示し、今後の感染拡大に警戒が強まっている。また、内閣府が17日発表した2019年10─12月期国民所得統計1次速報によると、実質国内総生産(GDP)は前期比マイナス1.6%、年率換算でマイナス6.3%となり、ロイターの事前予測の年率マイナス3.7%を上回る落ち込みとなった。5四半期ぶりのマイナス成長となり、減少幅は2014年4─6月期以来の大きさとなった。

日経平均はこれらを嫌気して続落スタート。その後も下げ幅を拡大し、一時前営業日比351円60銭安となった。ただ、上海株や香港株が堅調に推移してきたこともあり、日経平均は下げ渋り150円56銭安で前場の取引を終えた。

市場からは「日本国内でも新型肺炎への感染拡大への懸念が強まっていることと、GDPが予想を大きく下回ったことで、短期筋による先物売りで現物が引っ張られた。売り材料はひとまず出し切ったので、後場はアジア株を横目に動向を探るだろう」(国内証券)との声が出ていた。

TOPIXは0.86%安で午前の取引を終了。東証1部の売買代金は1兆0296億7100万円。東証33業種では30業種が値下がり、空運業、金属製品、海運業、食料品などが値下がり率上位となった。

個別では、キリンホールディングス<2503.T>が7.33%安。14日に発表した決算や株主提案の反対などが嫌気された。2019年12月期(2019年1月─12月)の連結業績は純利益が前年比63.7%減の596億円だった。英投資会社インディペンデント・フランチャイズ・パートナーズ(IFP)はキリンHD傘下のファンケルや協和キリンの株式を売却し大規模な自社株取得を提案したことに対して、キリンHDは「非現実的」として反対した。

東証1部の騰落数は、値上がりが269銘柄に対し、値下がりが1839銘柄、変わらずが52銘柄だった。