[15日 ロイター] - 米政府は、米ゼネラル・エレクトリック(GE)<GE.N>による中国商用飛機(COMAC)[CMAFC.UL]の旅客機「C919」へのエンジン供給について、販売許可の更新を却下すべきかどうか検討している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

GE製エンジンのほかにも、米ハネウェル・インターナショナル<HON.N>による飛行制御システムなどの部品の販売を制限する可能性について、検討が行われているという。通商および技術を巡る米中の対立の新たな火種となる可能性があり、中国が目指す民間航空業界参入に不透明感が強まる。

米政府はこれまで、中国最初の大型商業用航空機であるC919向けのエンジンなどの部品供給について、国内企業に販売許可を出してきた。同機は既に試験飛行を行っており、来年に商業運航を開始する見通し。

しかし、関係者によると、同機へのエンジン供給に向けたGEによる直近の許可申請について、トランプ政権は却下すべきかどうかを検討しているという。GEは2014年以降、販売許可を受けており、最後に許可が更新されたのは2019年3月だった。

エンジンは、GEと仏サフランの合弁であるCMFインターナショナルが製造する「LEAP」エンジン。15日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)も同エンジンの供給停止に向けた提案について報じていた。

航空機用部品の対中輸出の問題は、米政府の関係機関が20日に開く予定の、国内技術の対中輸出の制限に関する会議で取り上げられる見通しで、閣僚による28日の会議でも議題になる見込みだという

ホワイトハウスと輸出許可を担当する米商務省はコメントを控えた。GEとサフラン、仏政府関係者からもコメントは得られていない。

米政府の今月の会議では、飛行制御システムも検討課題になる見通し。ハネウェルはこれまで約10年間、COMACのC919向けの飛行制御システムを輸出するための許可を得ており、最後に許可を受けたのは2020年初めだった。

ただ、今後の販売許可について検討が行われる可能性があるという。ハネウェルは中国がロシアと共同で計画する双通路(ワイドボディー)機「C929」の開発に参画するための許可も申請している。

ハネウェルの広報担当者は、コメントを控えた。

一連の検討は、中国が米国製航空機用部品の供給を受けることで、米ボーイング<BA.N>の強力な競争相手が台頭する、あるいは中国の軍事能力増強につながるとの懸念を反映している。

1人の関係者によると、米国が実際に制限を課した場合、中国はボーイングではなく欧州航空機大手エアバス<AIR.PA>への発注を増やすことで報復する可能性がある。中国はボーイングの納入機数の4分の1を占めている。