株式会社ユーザベースは、2020年2月13日に2019年12月期の決算説明会を開催しました。当日の様子をほぼ全文採録でレポートいたします。
連結業績ハイライト
梅田:
皆様、よろしくお願いいたします。いつも通り、私から資料を通しでご説明させていただきまして、その後Q&Aに移らせていただければと思います。
まず連結です。各事業のサマリーを最初に書かせていただいておりますが、1つずつ詳しく説明しますので、このページは飛ばさせていただきます。
まず期が締まりましたので、1年前に我々が業績予想で皆様にご報告させていただいたことに対して、どういう進捗、どういう結果になったのかをご説明いたします。
我々は指標として、①売上高、②Quartz等を除いた既存事業のEBITDA、③Quartzを含めた投資している事業を含んだ最終的なEBITDAの3つを出しています。結果として売上高は、我々がお約束した数値に届かず、93%の達成率、125億円となりました。一方、既存事業に関しては、しっかり予想以上で着地しているという結果でございます。
常々、業績予想は非常に大切なものだと我々は思っておりまして、みなさんとしっかり信頼を築いていくうえで、なおかつ経営がちゃんとコントロール下にあるかどうかを見ていただくうえで、重要な指標であると思っておりましたので、経営陣一同、これをしっかり達成していくということは重要なファクターに置いておりました。
その意味でも、売上高が今回7%未達となってしまったのは、大変反省しております。同じようなことが起こらないよう、しっかり改善していく所存です。こちらについては、また詳しくご説明していきます。
一方で売上高はビハインドしましたが、しっかりコストのコントロールを期中からしておりまして、EBITDAは着地通りコントロールできたのが2019年でした。
売上に関して主な未達の要因は、広告売上になります。一番はQuartzの広告売上高、二番目がNewsPicks Studiosを含めたNewsPicksの広告売上になります。
一方で広告を除いた課金ビジネスだけを取りますと、非常に力強い成長を見せております。平均年間成長率で51%以上ですね。
まず創業事業のSPEEDAが力強く土台を作っています。+αで新しいB2B事業、INITIAL、FORCASが乗ってきております。なおかつ、B2BだけでなくB2C事業でも課金事業を作っているのが、大きな特徴でございまして、NewsPicksがその上に乗り、Quartzも課金事業を始めたので、海外のB2Cの課金事業もその上に乗ってきています。
MRRと書かせていただいていますが、これは「Monthly Recurring Revenue」というものです。課金事業の月間売上高を全部積み上げていくと、約7億円弱くらいになってきています。ユーザベースとしてはこの指標を今後重要指標の1つとして、皆様とコミュニケーションしていくうえで使っていきたいと思っております。
これまではSPEEDAのID数、NewsPicksの有料会員数という形で出していたんですが、全て単価の違うものになりますし、事業間の比較がなかなか難しかったと思います。これをMRRという指標に変えることで比較可能になりますし、トラック可能になりますので、全事業を通して今後使っていきたいと思っております。
このMRRは何を意味しているのかと言いますと、昨年末で月7億円弱の売上が立っておりますので、仮に今年1年間、1円も売上が増えなかったとしても、7億円×12ヶ月の84億円の売上高が、2020年はスタート時点から積み上がっていることを意味します。安定的な収益性を示す指標ですので、我々は重要視しております。
また、広告事業も引き続き当然ながら重要な事業でございます。この強い有料課金の土台の上に、広告事業がさらにアップサイドとして乗ってくる。そのような形で我々の事業を見ていただけたらと思っております。
繰り返しになりますが、MRR、Monthly Recurring Revenueという指標を、今後皆様とコミュニケーションしていくうえで、重要な指標の1つとして使っていきたいと考えております。
連結売上高に関しましては、34%という成長率を示しております。
利益に関しましても、マイナス4.1億円。当初、我々からご報告させていただいた範囲内で投資をして、その範囲内に着地しております。
Quartzの投資額も、ほぼ当初計画通りの数値になっています。繰り返しになりますが、「赤字になってしまった」のではなく、当初これだけ投資しよう、これだけ赤字にしようとした意図通りの赤字を今、出しています。その意図通りに有料課金事業がしっかり立ち上がってきているところが重要なポイントであります。
SPEEDA事業ハイライト
ここから各事業についてご説明していきます。まずはSPEEDA事業から。
SPEEDAは我々が一番最初に始めまして、最も安定的に成長し、収益貢献している事業になっております。
ただ収益貢献しているだけでなく、ID数の積み上がり方も伸びてきています。一部ではそろそろ市場の頭打ちが来るのではないかとご質問をいただくことがありますが、そのようなことは全くないという勢いが、この数値からも見ていただけるのではないかなと思っております。
これまではID数でご説明しておりましたが、今後SPEEDA事業もMRRでご説明していければと思っております。単価は今後変更していく可能性がございますし、他事業との比較としても見ていただきやすくなるかなと思います。
MRRで見ると、約4億円の売上高を超えました。仮に今年1年間、1IDも増えなかったとしても、4億×12ヶ月の48億円の売上が2020年の発射台としてすでに用意されている状態になります。
売上高も安定的に25%以上の成長率を見せています。
当初我々が上場したときから、30%を1つの正常収益の目安ですとお話していたかと思います。2020年までにはその水準に行くんじゃないかとお伝えしておりましたが、1年前倒して達成しておりますので、良い進捗をお見せできたのではと思っております。
その他B2B事業ハイライト
次はその他のB2B事業にいきます。FORCASのMRRは、昨年末で7500万円となりました。
新規事業ではありますが良い伸びを示しております。期待する事業の1つでございますが、この7500万円だけを見ると、若干出来すぎてしまったと我々は思っております。
FORCASは半期毎にだいたい1000万円の伸びを見せてきました。第4四半期は1500万円という伸びを見せましたが、これは長期的に仕込んできた案件が入ってきた結果であり、2020年の第1四半期はこの反動が出て、成長は弱含むんじゃないかと思っております。
四半期単位で見ていくと、このような反動はあるんですが、FORCASの根源的な力強さに関しては何の疑いもない状態だと思っております。年単位で見ていただきますと高い成長率を続けていく、我々の成長のドライバーの1つになる事業であると思っております。
FORCASとINITIALを合わせますと、全体で8.7億円という売上高になりました。SPEEDA以外のB2B事業も、しっかり立ち上がってきています。
投資して立ち上げておりましたので、赤字を出しておりましたが、今後、利益貢献してくる事業になってくると思っています。後ほどご説明していきますが、INITIALの事業だけを見ていただきますと黒字化を達成しておりますし、FORCASも黒字化に向けて着実に進んでいると認識しております。
NewsPicks事業ハイライト
続いてNewsPicksについてご説明いたします。
NewsPicksもこれまで有料会員数を中心にご説明しておりましたが、今後は有料会員数に加えまして、同じくMRRを出していきたいと思っております。
今回の一番のハイライトは、去年1年間かけて仕込んでおりました法人向け事業がしっかり立ち上がったというところになります。
この法人向けも含めていきますと、まずNewsPicksというメディアとしてのパワー、何人の人たちに有料コンテンツが届いているのかを表す有料会員数は約15万人になります。
ただ法人のほうは単価が違います。個人のほうも、アカデミアの5000円や学生会員の500円など単価が違ったりしますので、会員数に加えてMRRという数字を見ていただくのが、本質的な事業の成長性を見ていただくうえで、一番良いと思っています。
このMRRについて、月次の売上高を見ましても、12月期に法人事業がしっかり立ち上がったことによってグッと伸びています。ただこちらも12月に1年間仕込んできたものが乗ってきましたので、我々の実力からすると若干伸びすぎているところがございます。
足元の進捗を見ていても、2020年第1四半期はそんなに伸びてこないかなと思っております。一方で第2四半期は4月に法人契約が伸びてきますので、ここでまた数字が上がってくると見込んでおります。
パイプラインは力強いものがありますので、3ヶ月毎に見ると凸凹があるかもしれませんが、この法人事業はNewsPicksの成長を伸ばしていくドライバーの1つになるというところは、FORCASと同様に自信を持っています。
例えばThe Wall Street Journalでも、半分以上の会員が法人だったりするんですね。それくらいビジネスメディア、ビジネスコンテンツというのは、いかに法人のみなさまに深く入っていくかが大切だと思っておりまして、今後我々は個人向けと法人向けの両面から成長していきたいと思っております。
売上高もしっかり成長しています。1年を通して見ますと広告売上は計画に対してビハインドしてしまったんですが、そのビハインドが大きかったのは第2、第3四半期だったんですね。第4四半期だけを見ますと、過去最高の広告売上が上がってきておりますし、今期も足元の状況は力強いパイプラインがありますので、昨年はうまく計画通りにいかなかったんですが、足元を見ると広告事業の力強さというのは引き続きあると思っております。
利益も着実に積み上がってきておりますが、昨年は投資をする期間でもありました。我々の投資は「人」でありますから、前倒しで積極的に採用いたしました。この固定費が、今年1年間フルで乗ってきます。これは我々にとってコストが大きいものになりますので、その影響で、今年は利益率が下がることを見込んでおります。
ですので、2018年にはEBITDA率が約10%台に上がってきていたのですが、今年は若干下がってくると見込んでおいていただけたらと思っております。
ただ、これはあくまでも前倒しで人材を採用した固定費増になりますので、それを超えて売上の伸びがしっかり継続すれば、また収益率は上がってくると。2021年からまた収益性が上がってくると考えております。
Quartz事業ハイライト
最後にQuartz事業になります。
Quartz事業を買収してから1年間とにかく集中していたのは、広告一本足のビジネスではなく、有料課金事業をしっかり立ち上げていこうということです。NewsPicksのように50%:50%が理想です。バランス良く、この広告事業と有料課金事業が融合する、そんなビジネスモデルを作っていこうと、この1年間集中しておりました。
有料会員数はこの1年間で1.2万人を超えてきました。しっかり立ち上がってきていると認識しておりますし、この有料課金が立ち上がっている限り、未来のあるビジネスであると思っております。
なぜQuartzに投資を続けているのかという問いに答えていきますと、やはりこの有料課金事業が立ち上がってきているからです。
これも同じようにMRRでいきますと、日本円で1100万円、1年間を通すと1億円を超えるレベルになってきております。
Quartzは1年目のみ、40%のディスカウント戦略を取って会員を獲得しております。2年目以降になると正常価格になっていく形になっていますので、年を積み重ねていく毎にユーザーのARPPUは上っていくと考えております。
ただ一方で、有料課金事業の立ち上げに集中したことにより、Quartzの広告事業が下がってしまったというところが、業績予想を出したときとのギャップになります。当然NewsPicksの広告事業もあるのですが、こちらの変数のほうが大きかったです。
以前もご説明したのですが、やはり広告事業の文化、事業のつくり方と、有料課金事業のつくり方というは、全く別のゲームのようなところがございます。広告事業を維持しながら、有料課金事業を新たに作っていくというのは、なかなかハードルが高かったなと振り返って思います。
広告事業でいきますと、やはりどれだけPVを稼いでいるかが重視されます。ニュースルームからすると、どれだけ数多くのコンテンツを出し続けるかということが基本行動になっていくんですが、有料課金事業になっていくと、数ではない、とにかく質であるという形で、全く記事の書き方も変わってきます。するとビジネスサイドの動き方も変わってきます。
中途半端にやらずに、多少広告事業が犠牲になっても有料課金事業を立ち上げるんだということをこの1年間やってきました。そこで有料課金事業が立ち上がった代わりに、この広告事業が下がってしまったというところが、このQuartz事業の今年1年の振り返りです。
やはりQuartzに昔からいて広告事業を立ち上げてきたメンバーからすると、新しいオーナーになって、有料課金がファーストプライオリティだと言われると、やはりどうしてもおもしろくなかったところもあったのは、事実かなと思っております。それでキーマンが広告事業から離れたこともあり、広告事業はモチベーションやチームの熱量が非常に大切になってきますので、それが失われてしまったというのが、この背景にあると思っております。
ここは経営陣も変わり、今は広告チームも非常に強いチームになっていますので、今年からはまた広告事業が立ち上がっていくと想定しております。
利益に関しましても、広告事業は想定より下がってしまったんですが、しっかりコストコントロールをして、筋肉質なコスト構造にしたことによって、当初計画通りの約20億円のEBITDAの赤字に収めることができました。
2020年12月期業績予想
ここまでが2019年になります。ここからは2020年にどういうことを考えているのかを、少しご説明させていただきます。
まず、ユーザベースはいろいろ事業が増えてきておりますので、もう1回原点に立ち返って、何のために存在している会社なのかということを、ここで今一度おさらいさせていただけたらと思っております。
我々のミッションは「経済情報で、世界を変える」です。
非常に大きなことを言っているんですが、何を言っているのかというと、世界中のビジネスパーソンが日々いろいろな意思決定をして経済活動をしているかと思うんですが、あらゆるかたちで情報インフラを提供し、意思決定を支えていく。それに尽きると思っています。
例えば業務効率を上げて成果を上げたい、キャリアアップしたいなど、経済活動をしている中で小さな意思決定、大きな意思決定があると思います。
そのそれぞれの目的に応じて、我々はプロダクト、ブランドのラインナップをつくっています。例えばマーケティングや営業に関する意思決定の質とスピードを上げていくためには、FORCASがありますし、戦略や投資の意思決定のためにSPEEDAがある。そして日々の経済ニュースのインフラとして、日本にはNewsPicks、グローバルではQuartzという形でラインナップを揃えてきております。
全て共通しているターゲットはビジネスパーソンであり、経済以外の領域は扱わないというところが、我々のミッションで定義されているところになります。
ユーザベースグループには今さまざまなプロダクトが増えてきておりますが、それぞれがどのように関連しているのかを説明したのがこの図になります。
まず1人でも多くのビジネスパーソンにリーチ、最初の接点をつくることが大切でありまして、そのために存在するのが、このNewsPicksとQuartz。このB2C事業になります。現在、NewsPicksでアプリをダウンロードしてくれているユーザーが約450万人おられます。Quartzであれば1ヶ月あたりのユニークユーザーが2000万人おりますので、そういう方たちと接点を持つことができているという形です。
ただ、こちらのユーザーは無料で使っておりますので、この無料のユーザーから生まれる収益が広告収益となります。通常のメディアですと広告収益だけを作って終わりとなるんですが、我々はこのユーザーをもっとエンゲージの高いユーザーに転換するということを同時にやっているのが、ユニークな点でございます。
B2Cでいうと、NewsPicksはまず1500円のプレミアムユーザーになっていき、さらにアカデミアで5000円プランが次にある。このような形で、ユーザーがその関わりの深さに応じて、どんどんコンバートしていくところが、ビジネスモデル上、大切になっております。
それによって生まれる売上高が、B2Cのサブスクリプション、安定的な売上高となっておりまして、現在約15%以上くらいが、こちらから生まれています。
さらにB2Bも最終的にターゲットにしているユーザーは全て同じになります。そのためNewsPicksのユーザー向けにイベント等を開催し、B2B事業、すなわち、SPEEDA、FORCAS、INITIALのリードを作っていく形になります。
そこから今現状生まれているB2Bのサブスクリプション売上は、約53億円で、構成比45%となります。我々は最終的に同じユーザー属性をターゲットにしているので、1ユーザーあたりの収益が最大化していくことが、ビジネス上大切になってきます。ちょっと時間がかかってしまうかもしれないんですが、ユーザーIDの共通化も含めて取り組んでいくということを今計画しています。
今までは、個別事業を立ち上げることに集中していたので、そのような体制にしていました。ですがこのように全てをつなげていく、1ユーザーあたりの収益を上げていくということが、今後我々が強化していくことの1つと考えております。
そのためにも佐久間に取締役になってもらい、彼が日本のB2B事業を全て統括するような体制にいたしました。
具体的には、SPEEDAとFORCASとINITIALですね。このマーケティング部門や営業部門がクロスセルを効率的にできるようになり、先ほどの図を実現していきたいと思っております。
今年の収益予想なんですが、まず売上高としましては、ちょっと幅を持たせて150〜160億円と設定したいと思っております。いつものようにバシッと1本でいきたいと思っていたんですが、経営陣がしっかり自信を持てるものにしなければいけないなと考えたときに、どうしても今年は幅が出てしまうなと思っております。
大きな理由の1つは、コロナウィルスの影響です。このような外部環境の影響というのは、少なからずあると思っております。例えばSPEEDAの中国事業は、今ほとんど営業が停止してしまっているような状況になりまして、第1四半期の積み上げは年間で効いてきますので、何らか影響が出てくるんじゃないかなと思っております。
あとは広告事業の振れ幅が、昨年は想定より少し大きかったところがありましたので、外部環境の影響含めて我々の想定より上下に振れてしまう可能性もあり得るだろうなと思い、ちょっと幅を持っております。
ただ、昨年が一番の投資時期でしたので、今年からその投資が実り、徐々に収益化させていくということは、重要なステップだと思っております。我々が一番重要視しているボトムラインの指標であるEBITDAは、しっかり黒字化させていきます。どのような状況、どのような売上高の範囲に収まったら、しっかり黒字化できるかという考え方でコストコントロールをしていくのは、大切なコミットメントだと考えております。
我々は2018年に「投資を開始していきます、赤字にしていきます」とお伝えいたしました。そのときに、どういう見通しでで収益化させていくのかという方針もお伝えしましたが、これを振り返ってどうだったのか、そして変えるものは変えるということをあらためてお伝えすることが大切だと思っておりますので、ここで振り返りをさせていただけたらなと思っています。
まずSPEEDAに関しましては、2020年までのEBITDA率30%を掲げておりまして、これは2019年、1年前倒しで達成することができ、良い結果だったかなと思っております。
FORCAS、これは開始したときに2020年までに黒字化と言っておりましたが、想定以上にトップラインが上がってきております。このトップラインを見ていると、もっと投資していっても良いのではとも感じております。
ですのでFORCASは黒字化を若干遅らせて、2020年中に単月黒字化を目指し、2021年には通期で黒字化というような形で、少し遅れさせていただきたいと思っております。
次にINITIALに関しましては、2019年までの黒字化で、これは計画通りに達成することができ、良い結果だったと思っております。
一番変化が激しいのがNewsPicksでございます。当時はNewsPicks Studiosを始めて、2021年までに黒字化させていきますよ、とお伝えしていました。あわせて、NewsPicks Studiosを除いたNewsPicks事業単体で、2020年までにEBITDA率30%と書いていたんですが、これはNewsPicks StudiosとNewsPicksの内部取引が多くなってきているところもありまして、分けて考えるのはあまり意味がなくなってきたところがございます。またNewsPicks Enterpriseという、新規ビジネスが立ち上がってきていることもあります。
変化が激しい事業であり今後も投資を一定継続していくため、NewsPicksはまず連結で2022年までにEBITDA率20%を目指す方針に変更したいと思っています。当然その分、トップラインは上げていくことを引き続きやっていきたいと思っております。
Quartzに関しましては、2022年までに黒字化いたします。お手元の資料には「2019年の買収時」と記載されているかと思いますが、これは2018年の誤りです。スクリーンのほうは修正されておりますが、2018年の夏の買収時に掲げた方針になっておりまして、これは変わらず2022年までの黒字化をしっかり進めていく。今、しっかりそのトラックに乗っていると認識しております。
これはまた2年後、3年後にも振り返り、事業の進捗をお伝えしていきたいと思っております。
以上が全体の説明になります。ありがとうございました。
Q:1年後の各事業MRR、SPEEDA競合サービスの影響について
質問者1:
今期の売上目標が150〜160億円ということでした。MRRでいうと、1年後の各事業MRRはどのようになっているイメージをお持ちでしょうか。
またSPEEDAについて、競合サービスが最近料金体系を改定したと聞いています。このことによるSPEEDA事業への影響はどの程度あるのでしょうか。
梅田:
ご質問ありがとうございます。MRRについてはCFOの千葉から、SPEEDAについては佐久間からご回答させていただきます。
佐久間:
足元の営業状況を見ても、直近で大きな影響があるとは考えておりません。
競合サービスの動きを見ることももちろん大事なのですが、自分たちが提供できるサービスの価値を高めることが何より重要です。昨年リリースした「トレンド」機能や、今年1月にリリースした、ミーミルと連携した「専門家の見解」機能などをしっかり磨いて行きたいと考えています。
千葉:
期末時点でのMRRについては、申し訳ないのですが開示しておりません。MRRの伸び方についてお伝えさせていただくと、まずSPEEDAはこれまで年間20〜30%の成長をしてきました。事業規模も大きくなってきていることから若干スローダウンする可能性はあると思いますが、基本的にこの20〜30%の範囲から大きくずれることは想定していません。
最近は事業会社様での導入も増えてきており、こちらは1社あたりの導入ID数が少なかったり、先ほど梅田からお伝えさせていただいたように中国市場ではコロナウイルスの影響もあったりしますので、SPEEDA連結ベースでは多少低いペースになるのかと思っています。
NewsPicksの有料会員については、先ほど梅田からお伝えしたとおり、法人会員はお客さまの予算のタイミングがありますので、季節性があると見込んでいます。こちらは随時、皆さまに情報をお伝えしていければと考えています。
一番変数が大きいのは、FORCASです。2019年はQonQで1500万円の積み上げができたとご説明いたしましたが、2020年第1四半期は弱含む見通しです。ただ、年間を通してはこれまで通りの高い成長をイメージしています。これまでのヒストリカルのデータを見ればイメージいただける水準に着地させたいと考えています。
質問者1:
Quartzはいかがでしょうか?
梅田:
Quartzは今立ち上がりを見せているフェーズですので、「立ち上がっただけで終わった」とならないように継続させていくことが何より重要だと考えています。
今、足元の数字を見ても1月も力強く有料会員を獲得できていますので、このペースを着実に積み上げていくことに尽きると思います。
Q:Quartzの広告収益見通し、TBSからの出資について
質問者2:
Quartzの広告収益は、2019年第3四半期の時点で弱そうだとお話しされていたかと思います。その見通しに対して第4四半期は実際どうだったのかをお教えください。また足元での広告収益の立ち上がりはどう見ていらっしゃるのでしょうか。
梅田:
第3四半期に見込んでいた数字が、大体そのまま第4四半期実績となったと考えています。
Quartzの広告事業は、NewsPicksと比べても高単価となっています。一方で顧客候補となるパイプラインは半年ぐらい前にだいたい見えてくるのですが、1月時点ではまだ立ち上がりが弱いなというのが率直な感覚です。ただQuartzの広告チームは昨年入れ替わりがありまして、チームとしてしっかり立ち上がったのが昨年末ぐらいでした。この新チームが取ってきている数字は決して悪くないので、第1・第2四半期ぐらいまでは多少勢いが弱かったとしても、第3四半期あたりからはしっかり挽回してくると見込んでいます。
質問者2:
TBSとの業務提携を発表されましたが、動画が中心であればNewsPicks Studiosへの出資でも良かったのではと感じています。ユーザベース本体への出資とした背景についてお教えいただけますでしょうか。
梅田:
TBSからの出資で一番シナジーがわかりやすいのは動画ですので、まずはそこから始めるということは変わりありません。4月ぐらいからTBSの方にもNewsPicks Studiosに出向いただいて、共同チームとしてやっていけるように現在準備を進めています。
ただし、動画制作だけにとどめず、共同での新しい広告商品もつくっていきたいと考えています。また先日、両社のメンバーが交流する勉強会を開催したのですが、そこにはSPEEDAやFORCASのメンバーも参加いたしました。私たちとしてはNewsPicksの動画だけに可能性を限定するのではなく、ユーザベース全体としてシナジーを生み出していきたいと考えて出資いただきました。
Q:法人向けNewsPicksに取り組む意義、Quartzのユーザーやコンテンツの特長について
質問者3:
1つ目は、日本のNewsPicksで法人向け事業に注力される中長期的な意義をお教えいただけますでしょうか。
2つ目はQuartzについて。現状のQuartzのユーザー属性はどうなっているのでしょうか。
3つ目はQuartzのコンテンツの特長について、あらためてお教えいただけますでしょうか。NewsPicksとの違いや目指している方向性などお教えいただければと思います。
梅田:
1点目のNewsPicks Enterpriseにつきましては、まずMRRの増加に貢献していくというビジネス面での意義がございます。NewsPicks Enterpriseを導入いただくと社内や部署限定のクローズドな環境でニュースにコメントできるようになり、社内報もそこに流れてきますので、社内のエンゲージメントを高めるという点を評価いただいてご導入いただいています。
2点目と3点目について。まず属性としてはNewsPicksと似ていて、若い次世代ビジネスリーダーに読まれています。NewsPicksとの大きな違いとして女性が多く、男女比がだいたい半々になっています。年齢としては20〜30代で、都市部に住んでいて、何かしらの意思決定に関わっているビジネスリーダーであるというのが特長です。
コンテンツについては、NewsPicksの特集に近いかなと思っています。The Wall Street Journalのようにデイリーの速報ニュースを届けるものではなく、週末に読んでいただいてインサイトを提供するようなコンテンツを主につくっています。The Economistの若者版、スマートフォン版と捉えていただくのがわかりやすい喩えかもしれません。
今、有料会員を多く獲得できているのも、「Field Guide」という毎週出す特集です。例えば今週であればAmazonを特集しています。このように毎週月曜に特集するテーマを出すのですが、このField Guideが有料会員になっていただく大きなドライバーの1つになっています。
デイリーの速報ニュースではなくテーマ型の特集が強いという意味で、NewsPicksに近いと考えていただければと思います。
Q:NewsPicksの個人会員数の傾向、Quartzの広告収益と有料会員の退会リスクについて
質問者4:
1点目はNewsPicksについて、個人の有料会員数がQonQでは約3000人の伸びになっているようです。今後はどういったトレンドを期待されているかお教えください。
2点目と3点目はQuartzについてです。第3四半期の決算説明会では広告収益を横ばいに持っていきたいと仰っていたかと思います。そのお考えに変更がないかお聞かせください。
3点目が、Quartzの有料会員数について。1年目は40%割引をされていますが、2年目以降の退会リスクについてどう考えられているのかお教えください。
梅田:
まず1点目につきまして。個人の有料会員数の成長が若干鈍化しているのは事実でございます。法人向け事業を始めたことで、ある程度シェアを取り合う部分が出てくるのは致し方ないと考えております。ですが重要なのは全体でMRRが伸びるかどうかです。MRRが伸びている限りは個人・法人問わずに事業を進めていく意義はあると考えています。
2点目と3点目につきまして、Quartzの2020年の広告売上はほぼ横ばいだと見ているのは変わりありません。有料会員数の退会リスクについては、クレジットカードでの課金になっていますので、NewsPicksでの経験を踏まえても解約率はアプリ会員に比べて低いと見ています。1年間続けていただけたということはそれなりに満足いただけているはずですので、NewsPicksで持っているデータとも掛け合わせて、保守的にシミュレートしています。当然解約は出てくると思っていますが、成長に影響を与えるレベルにまで出てくるとは考えておりません。
ディスカウント率などはA/Bテストしながら試していきたいと思っていますが、まずディスカウントして有料会員になっていただき、中長期的にLTVを上げていく方針を米国市場は今期も続けていく予定です。
Q:SPEEDAはSaaSなのか、NewsPicksの法人と個人のバランス、Quartzの広告収益減について
質問者5:
3点お伺いいたします。1点目は、SPEEDAはSaaSなのかということ。個人的にはSaaSとははっきり言いにくいと考えています。1企業内でIDが増えていくわけではないですし、値上げがどんどんされていくわけではないので、短期的に赤字になっても顧客開拓を進めて将来的にアップセルを含めて市場シェアを獲っていくSaaSとは違うのかなと。SaaSと言えるのであればポテンシャルをどう考えておられるのでしょうか。
佐久間:
SPEEDAは……、SaaSだと思います。
たとえばユーザー数に連動して収益が上がっていくというモデルを、SPEEDAは実現できていると思っています。もちろん企業規模によっては大きなユーザー数の拡大を見込めないという企業属性もありますが、SPEEDAのお客様の多くは、金融機関やコンサルティングなどのプロフェッショナルファームや、規模の大きい事業会社となっています。私も2013年からSPEEDAに関わっていますが、そのときにご契約いただいたお客様が年々ID数を拡大してくださっているケースも多数ございます。
今年、私があらためてSPEEDA事業を担当させていただくことになって、日本の広範な大企業の方にお使いいただいている、SPEEDAのユーザー基盤の素晴らしさを感じています。もちろんSPEEDA単独でもまだまだポテンシャルはありますが、今回体制を変更しまして、SPEEDA/FORCAS/INITIALのプロダクトを跨いでお客様に大きな価値が届けられるように挑戦しています。これはユーザベースの大きなポテンシャルでもあると考えています。
今年の1月6日に体制変更を発表いたしましたが、マーケティングに関してSPEEDA/FORCAS/INITIALすべてを統合しました。また大企業に対して戦略理解とともに深く入り込み、プロダクトを跨いで価値を届けていくチームも新設しました。これらの取り組みによってSPEEDAのユーザー価値を、SaaS事業全体のユーザー価値につなげていけると考えています。
質問者5:
補足でお聞きしたいのですが、お客様への支援の状況によっては、単価のアップは期待し得るのでしょうか。御社はこれまで単価のアップについてはほとんど言及されてこなかったと思いますので、どのようにお考えでしょうか。
佐久間:
単価の向上については、私たちがお客様にご提供できる価値を上げていくことで、ともに単価も上げていくことを検討しています。
質問者5:
2つ目の質問は、NewsPicksの法人向け事業について。法人ユーザーを獲得していくことと、個人ユーザーを増やすためにコンテンツをつくっていくというのは、異なる世界のように感じています。将来的に法人会員が伸びてMRRへの寄与も大きくなれば、個人向けのコンテンツの方向性が変わることもあり得るかと思います。現時点で法人向けと個人向けのバランスをどうお考えなのかお教えいただければと思います。
梅田:
法人向け事業は始めたばかりですので、現段階で明確なお答えをするのは難しいと考えています。ただ私たちがつくるコンテンツが、個人向けと法人向けで変わってくるのかというと、それはないと思っています。最終的にターゲットとしているのはビジネスパーソンですので、企業を通して届けるのか、ダイレクトに届けるのかの違いだけだと思っています。
法人向けの大きな特長の1つは、NewsPicksのコメント機能、コミュニティ機能を部署だけで使えるというところです。それにプラスして、私たちの社内チームがお客様の社長インタビューをしてそれを社内向けに流すという、コンテンツづくりまで深くサポートしています。今後はこの価値をさらに追求していく方針です。
質問者5:
3つ目は、Quartzの広告収入の考え方について。ここまで広告収入が目減りしていると、買収当時と企業価値が変わっていますね、となりかねないと思います。どのような根拠で買収時の企業価値を見通していて、現状の広告収入の減少をどうお考えなのかお教えいただけますでしょうか。
梅田:
まず買収時に、想定事業計画をQuartz単体でつくっております。それと比較すると、広告収益が若干下がっているのは事実です。一方で有料課金は計画と比べて大幅に早く立ち上がっています。買収当時は、NewsPicksの経験からも、Quartzの有料課金の立ち上がりには1年ぐらいはかかり実際に数字が出始めるのが2年目以降だろうと想定していました。ただし、実際は1年目から立ち上がっていますので、ここが逆にポジティブなポイントの1つです。
そして利益については計画通りに収まっています。総合して計画通りに推移していますので、ご心配いただいているような状況にはなっていないと考えています。
質問者5:
売上高が22%減少というのは大きな数字に見えますが、御社としては買収時から見通していて、想定していた幅よりもそれほど大きく見ていないと考えて良いのでしょうか。
梅田:
具体的な数字はお伝えできないのですが、有料課金を立ち上げるために広告事業が少なからず影響を受けるというのは想定していました。それが当初考えていたよりも減少しているかと言われますと、答えはYESとなります。
ただこれは昨年しっかり意志をもって決定した結果でありまして、有料課金の立ち上がりが見えてきたタイミングで、「中途半端な戦略は取らず、更に広告が減少しても有料課金によりシフトする」と明確な意思決定をいたしました。そのときには、この減少幅はある程度見据えていました。
広告事業はシンプルなビジネスでして、メディアのブランド×熱量の高い営業チーム×クリエイティブがかけ合わさって売上高になっていきます。Quartzに関しましてはブランドも崩れておらず、クリエイティブチームも崩れていません。ただ1つ、営業チームをつくり直す必要がありここに時間がかかってしまったので、チームが再組成された今年は、広告売上はまた収益貢献してくると想定しています。ここは今しばらくお待ちいただいて、数字を見ていただければと考えています。
Q:ユーザーID共通化を実現する時間軸について
質問者6:
38ページ目の資料で、全ユーザーIDの共通化と書かれています。
これすごく重要だと思うのですが、今現在はどのくらい共通化されていないのでしょうか。またこれを進めることによってユーザーのLTVが上がるなど、どのような効果があるとお考えなのでしょうか。
梅田:
現状は、IDの共通化はほぼされていないと考えていただければと思います。ですので伸び代しかない状況です。
ユーザベースほど幅広く、かつ深く20代から40代の若手ビジネスパーソンに使われているサービスはあまりないと考えています。ただし、今までは同じお客様にSPEEDA、NewsPicks、FORCASとそれぞれの事業から別々にアプローチしていることがありました。それを共通IDにすることで、ユーザーの見える化をしていきます。ユーザーのどのフェーズにどのサービス価値を提供できているかが見えるようになることで、営業やマーケティング、プロダクト開発などすべてにおいて打ち手が変わってきますので、見える化することが何より重要だと考えています。
質問者6:
どのくらいの時間やリソースをかけて実現されていくのでしょうか。
梅田:
時間軸についてはまだここでお約束できるレベルにないと考えていまして、今回は、「やっていきます」という意志だけ表明させていただいたかたちです。
今年の10月まではやらなければいけない開発計画が詰まっていますので、10月以降から徐々に開発に入っていく予定です。ここに関しては順次ご報告させていただければと思います。
司会:
それではお時間となりましたので、以上をもちまして株式会社ユーザベース2019年通期決算説明会を終了させていただきます。
ご来場いただきありがとうございました。