[ワシントン 11日 ロイター] - 米下院エネルギー商業委員会の小委員会は11日、自動運転車の実用化に向けた安全対策に関する公聴会を開いた。運輸当局者などが厳格な安全要件の導入を求めたのに対し、業界関係者は自動運転車がもたらす恩恵を強調し、法的な後押しがなければ米国は中国などに出遅れる恐れがあると主張した。

米議会は、自動運転車に関する法案にどのような消費者保護策や安全策を盛り込むべきかを巡り、意見がまとまらない状態が何年も続いている。この日の公聴会でも見解の隔たりが鮮明となり、2020年末までに実用化に向けた法案を成立させるのは厳しいとの声も聞かれる。

公聴会で下院エネルギー商業委員会のフランク・パロン委員長は、「適切な安全策を導入すべきだ。自動運転車の安全な走行と州や自治体の法への適合を確保する必要がある」と強調した。

サンフランシスコの運輸当局者、ジェフリー・タムリン氏は、議会は自動車メーカーに対して自動運転車へのイベント・データ・レコーダー(EDR)の搭載を義務付けるべきだと指摘。そうすれば、衝突事故前にセンサーが集めたデータが保存され、自動運転車が絡む安全に関する事故が全て、国のデータベースに記録として残ることになると説明した。

カリフォルニア州は自動運転車の公道走行試験を実施している全メーカーに対し、手動運転の時も含めて、全ての衝突事故を公表するよう求めており、事故の報告は一般公開されている。

一方、自動車業界団体グローバル・オートメーカーズ会長のジョン・ボゼラ氏は、議会が実用化に必要とされる「重要な法案の成立を遅らせることが想定される最悪の結果だ」と強調した。

米国の現在の規制では、完全無人自動運転車は実質的に禁止されている。ただ、米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)は前週、ソフトバンクグループ<9984.T>が出資する米ニューロの無人配送車両に対し、初めての規制適用除外を認めた。

自動車メーカーは航空機のような認証制度を自動運転車に適用する案に反対している。