[マニラ/ワシントン 11日 ロイター] - フィリピンのドゥテルテ大統領は11日、同国で活動する米兵の法的地位を定めた訪問軍地位協定(VFA)の破棄を発表した。両国の同盟関係、米軍のアジア太平洋での展開に影響が出ると予想される。

エスパー米国防長官は、破棄の通知に遺憾の意を示し、米国とその同盟国が中国に対しアジアで「国際的な法と秩序」を順守するよう圧力をかけようとしている状況下で誤った方向の動きと指摘した。

協定破棄の背景には、警察トップとして麻薬犯罪組織撲滅に向けて強硬な措置をとった上院議員へのビザ発給を米国が拒否したことがある。

中国やロシアとの関係強化を志向するドゥテルテ大統領は、米国がVFAを利用して偵察などを行っており、フィリピンが中国の侵略対象になるリスクを生んでいると主張。前週、上院議会でVFAに関する公聴会が開かれ、外相、国防相、軍幹部がVFA支持を表明していたが、破棄に踏み切った。

VFAは通知から180日後に失効する。米側は戦略上のフィリピンの重要性を踏まえ、それまでに決定が撤回ないし延期されることを期待している。