[ソウル/サンフランシスコ 11日 ロイター] - 韓国のサムスン電子<005930.KS>は11日、スマートフォンの旗艦機種「ギャラクシーS」の新モデルを発表した。この日は米サンフランシスコのイベントで折り畳み可能な新機種「ギャラクシーZフリップ」も披露した。

Zフリップは四角型で縦方向に折り畳める。価格は1380ドルからで14日に発売される。昨年発売された見開き型の折り畳めるスマホ「ギャラクシーフォールド」の1980ドルを下回る。

ギャラクシーSは3種類の新モデルを発表。カメラ機能が強化され、次世代通信規格「5G」に対応している。3月発売予定で、価格は999ドルからとこれまでのモデルよりも高く設定されている。

Zフリップは4G対応となる。

ムーア・インサイツ・アンド・ストラテジーのパトリック・ムーアヘッド氏はZフリップについて「誰もが5Gへの対応を望んでいるが、スタイルを重視する若者がターゲットであることから(5G非対応でも)問題ないだろう」との見方を示した。

米調査会社のIDCによると、サムスンは昨年10─12月期のスマホ出荷台数のシェアで首位の座を米アップル<AAPL.O>に譲った。アップルは新機種「iPhone11」の低めの価格設定が奏功し、出荷台数の伸びが2015年以来の大きさとなった。

中国の華為技術(ファーウェイ)もシェアでサムスンに迫りつつある。ただ、ファーウェイは5Gを巡る米中の対立に巻き込まれている。

PPフォーサイトのロンドン在勤アナリスト、パオロ・ペスカトーレ氏は「ファーウェイの現在の苦境やアップルがまだ5G対応のiPhoneを出していない状況を踏まえると、サムスンはシェアを拡大できる絶好の時期にある」と指摘した。

新しい「ギャラクシーS20」では背面カメラの複数のレンズが四角型の黒いパネルに収まっており、iPhone11と類似したデザインになっている。

サムスン製品の多くにチップを供給している米通信用半導体大手クアルコム<QCOM.O>のクリスチャーノ・アモン社長は、世界のスマホ市場が成熟化する中、通信事業者は5G対応機種に需要回復の期待をかけていると指摘した。

一部のアナリストはS20について、前機種の販売をやや下回るとみている。

また関係筋がロイターに語ったところによると、折り畳みスマホの今年の販売台数は最大で500万台と昨年のスマホ全体の出荷台数の2%未満にとどまる見通し。別の関係筋によると、サムスンは年内にギャラクシーフォールドの新モデルを発表するとみられている。

折り畳めるスマホについて、ストラテジー・アナリティクスのアナリスト、ニール・モーストン氏は「価格が高く、製造も非常に難しい。量産品になるには時間がかかるだろう」と指摘。量産品に変わる時期は2022年か23年になると予想した。

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