【核心】なぜ、「感染ウイルス」は世界に広がるのか

2020/2/12
とどまることを知らない新型コロナウイルスの猛威。
中国湖北省武漢市で発生したこの感染症の影響は、日増しに大きくなるばかり。日本を始め、外国にもまたたく間に広がり、多くの人々を恐怖に陥れているほか、経済への打撃も計り知れない。
ただ、感染症の流行は、今に始まったことではない。
2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)、2009年の新型インフルエンザなどーー、特に近年、感染症(パンデミック)自体が増えてきている印象を受ける人も多いかもしれない。
NewsPicks編集部は、同年の新型インフルエンザ流行時、国立感染症研究所で対応に当たった岡部信彦所長(現・川崎市健康安全研究所長)に取材を敢行。パンデミックは我々にとってもはや「日常」になってしまったのか。そして感染症対策で、最も注意すべき点は何なのか。解説してもらった。
(写真:Zhou Chao/Visual China Group via Getty Images)

「死のリスク」は減っているが...

岡部 まず最初にお伝えしたいのは、感染症において、みなさんが最も恐れる「死に直結するケース」は減っているということです。