三菱UFJ銀行、一律の賃上げ廃止へ
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若い人たちはきっと一律の賃上げとか意味がわからないというでしょうね。
正直私たちの世代でも今ひとつわからないというのが本当のところでしょう。
でもね、歴史的に見れば、この一律の基本給ベースアップ、つまりベアと言われるものが日本の労働運動の基本だったことは間違いありません。
大勢の労働者が、同じ目標に向かって力を結集できたからこそ、かつての労働者たちは経営者に対して一定の発言力を持てたのです。
逆に優秀な人は給与が上がり、そうでない人は下がることは一見合理的に見えますが、それが繰り返させると長期的にはとてつもない格差を招き、経営者に対する労働者の団結など全く望むべくもなくなります。
私の前職は日本では何番目かの平均給与が高い会社でした。
だから世の中にはとても優秀な人がいて、彼らがとてつもない高給を得る力があることを私は知っています。
同時に私が決してそういう能力を持つ人間でないことも、嫌というほど思い知らされました。
それでも私の生きてきた世界にはベアなどありませんでしたから、私とて非才であっても個人の実力だけでここまで生き抜いてきました。
もちろんその人生に何の悔いもありませんが、元々そうでない世界に生き、その覚悟がない人たちにとっては、ある日突然自分たちを守ってきた世界そのものがなくなってしまったような気分になるでしょう。
要はベアというのは弱き者や能力のないものをみんなで守るバリアであり、社会的なセーフティネットであったのだと思うのです。
私自身は外部の人間であった故に、そういう古い伝統を守る業界が一つや二つあってもいいと思っていました。
だからこそMUFGのような古き良き時代の日本そのものともいえる企業でさえ、そうした日本的ファンタジーを守り続けられなくなったことに、ある種の感慨を覚えます。
そしてたとえビジネス弱者であっても弱肉強食の掟の中で生きなけらばならない次の世代の若者たちに、一抹の同情を感じざるを得ないのです。所詮、御用組合ですから、全時代的賃上げ春闘からの転換は自然な流れです。
ただ、実績主義ベースの分配は当然としても、安定的に労働分配率向上を確保できるような合意形成は確保しなきゃでしょ。