(ブルームバーグ): 横浜港に停泊中のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号で新型コロナウイルスの陽性反応が新たに確認された人数について、厚生労働省は65人だと発表した。同船ではこれまでに延べ439人を検査し、うち135人の感染が判明した。同船を含む国内感染者は合わせて161人となる。

運航会社プリンセス・クルーズはこれに先駆け、新たに確認された感染者数は66人で、うち45人が日本人だと発表していた。

菅義偉官房長官は午後の会見で、新たに陽性反応が出たことを踏まえ、「引き続き健康観察期間の状況を見守りつつ、必要な対応を行っていきたい」と語った。与党の提言も踏まえ、政府は週内に新型コロナウイルス感染症関連の緊急対策をまとめるとも明言した。乗船者全員への検査は「現状においては厳しいものがある」と述べた。 

同船には9日時点で3600人超の乗客・乗員が残っている。下船後に感染が確認された香港の男性との濃厚接触者ら273人へのウイルス検査は終了しており、現在は発熱のある人や80歳以上で体調がすぐれない人などを優先的に追加検査を実施している。

運航会社は9日の発表文で、厚労省との連携で同船への追加の医薬品の供給を受け、優先度の高い乗客から順に配布していることを明らかにした。

加藤勝信厚労相は10日午前の記者会見では、5日から14日間は船内待機とする健康観察期間を変更しない方針を示していた。ウイルスを高精度で検出するPCR検査を下船時に全員に実施する可能性について問われ、「できるのであればしっかり対応したいが、できると断言できる状況ではない」と述べた。

菅官房長官は7月開幕する予定の東京五輪については、「予定通り開催されると組織委員会もコメントしている」とし、国際オリンピック委員会(IOC)や東京都などとも緊密に連携し、感染症対策に関する海外への情報発信を含め、引き続き準備を進める考えを示した。

一方、茂木敏充外相は10日夕、中国湖北省に滞在している邦人を帰国させるためのチャーター機の第5便派遣で調整を開始することを明らかにした。実際の運航は早くても今週末以降になるという。外務省内で記者団に語った。「日本政府は第5便をもってチャーター機による帰国オペレーションに取りあえず一区切り付けたい」とも述べた。

(厚生労働省の発表を加え、人数を更新しました)

--取材協力:占部絵美、木下晶代.

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