【藤野英人】所詮は、運。いい時も悪い時も淡々と同じ努力を続ける

2020/2/23
「老後資金は国や会社任せにせず、自分でコツコツ備える」という考え方が広がりつつある。この分野の牽引役となってきた一人が、レオス・キャピタルワークス社長の藤野英人氏だ。

12年前に積立型投資信託「ひふみ投信」をリリースし、日本の各地に眠る成長企業を発掘・応援しながら、個人の資産形成をサポートする。「R&Iファンド大賞」の“常連”になるなど実績の評価も定着し、昨年秋には海外株式に投資する「ひふみワールド」をリリース。最新刊『投資家のように生きろ』(ダイヤモンド社)がヒットを飛ばすなど、その生き方や価値観に共感するファンも多い。

過去の自身について「とにかく嫌なヤツだったんですよ」と笑う藤野氏の波乱含みの半生と仕事の哲学を聞いた。(全7回)

写真立てに飾った3,240円の意味

千円札が3枚と百円玉2枚、そして、十円玉が4枚。
東京・丸の内にある高層ビルの27階。17年前に創業したレオス・キャピタルワークス(以下、レオス)の私のデスクには、3,240円の現金が飾られています。
折り目のついた紙幣と古びた硬貨を貼り付けているのは、昔使っていたエルメスの写真立てです。「外側のほうが高級じゃないか」と思わず笑ってしまいます。
実はこの3,240円は、お金を扱う専門家である私にとって、“最も意味深い現金”と言っていいものです。
まずはこの現金の意味から、お話ししたいと思います。