[6日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のクオールズ副議長(金融規制担当)は6日、銀行の流動性要件について、保有する米国債をFRBに預ける準備預金と同等に扱えるようにするなど、要件自体は緩和せずに柔軟な運用を可能にする方策を検討すべきとの考えを示した。

副議長はニューヨーク大学傘下組織が主催したイベントで「流動性における準備預金と米国債の特性が、現在考えられているよりも類似していると見なされた場合、金融システムの効率性が向上するかどうかについて検討する価値がある」と指摘した。

ただ、銀行の流動性バッファーの低下につながるような措置を提案するつもりはないと語った。

副議長は、選択肢の一例として、金融機関が景気悪化シナリオに備えた資本増強策として、FRBの公定歩合による貸出を補完的な資金調達手段に加えることを、時として認めるような方針の転換が可能だと指摘。金融機関の一部は信用低下を恐れて公定歩合貸出を敬遠しているため、ほとんど利用されていないが、クオールズ氏は、何らかの調節を行えば、銀行が同貸出制度を取り入れるよう促せるかもしれないと述べた。

米短期金融市場では昨年の9月半ばに、銀行や企業が資金調達する際に支払うレポ金利が急騰。これに対応し、FRBの金融調節を担うニューヨーク連銀はレポ市場に大量の資金を供給してきた。FRBはまた、10月半ばに月額600億ドルの財務省短期証券(Tビル)の購入を開始し、バランスシート拡大に動いた。

パウエルFRB議長は先週、レポ市場での資金供給オペを4月まで続ける公算が大きいと表明。また、Tビルの購入額を第2・四半期に減らす可能性を示した。

クオールズ氏は、昨年の短期市場の想定外の混乱は、銀行システムにさらなる準備預金が必要だったと示唆しているようだと指摘。それでもなお、FRBがバランスシートを最低限必要な大きさに保つのが好ましいとの考えを述べた。

「バランスシート政策は、保有資産増大への継続的な圧力が存在しないと示すことで信認が高まる」と語った。

また、レポ市場で主要な資金の出し手である大手銀行が年末前に自己資本の上乗せ義務を回避するために貸し出しを減らす問題に対応し、FRBが、システム上重要な金融機関の流動性の状況について、年末時点の数値よりも平均的な数値に重きを置く方向への変更を「積極的に検討している」と表明。

常設レポファシリティーについては検討を継続していると語った。ただ、「われわれが既に持っている手段をまずは利用するほうが、メリットがあるかもしれない」と述べた。

<新型コロナウイルスなどがリスク>

クオールズ氏はまた、FRBによる昨年の3回の利下げ後、金利は経済成長を後押しする好ましい水準にあるとの見方を示した。「現在の金融政策のスタンスは、景気見通しや相対的に落ち着いたインフレ圧力を踏まえると、適切だと考える」と語った。

景気の見通しについては「楽観視」していると表明し、インフレ率はFRBの目標である2%を中期的に達成する見込みだと語った。

ただ、企業の弱い景況感や通商政策の転換、新型コロナウイルスの感染拡大など、「顕著なリスク」も存在すると指摘。コロナウイルス感染拡大の経済全体への影響を「予測するのは時期尚早で、状況を注意深く見守る必要がある」と述べた。

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