ジモティーIPOまでの資本政策。VCファンド主導型スタートアップの今後
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ジモティー
公開価格ベース時価総額 54.2億円
MAU 1,000万人(記事によると)
MktCap/MAU 542x
売上 10億円
売上/MAU 100x(コンバージョンレートの代わりとして)
MktCap/MAU 5.42x
メルカリ
時価総額 3,600億円
MAU 1,538万人(記事によると)
MktCap/MAU 23,407x
売上 517億円
売上/MAU 3,362x(コンバージョンレートの代わりとして)
MktCap/売上 6.96x
経営陣がメルカリを類似比較企業としていたら、MAUマルチプルが43倍違うのは受け入れ難く、結果として売出しも2割のみ(流動性確保程度)、新株発行も申し訳程度の2億円ということでしょうか。
他方、ジモティーはMAUが大きくてもコンバージョンレート、paying user数、ユーザーあたり実際の支出額がメルカリより大分低いので、セールスマルチプルはそれほど変わらない水準です。
MAUマルチプルで見てポテンシャルを見てほしい経営陣と、収益構造の質(コンバージョン)がメルカリとは違う、と主張する主幹事のせめぎ合いがあったのかなと、勝手に想像しました。
個人的には、コンバージョンレートの向上は収益構造の根幹にも関わるので容易ではないけれど、いかにも経営テーマとして取り組むべき重要テーマに思います。
※携帯でざっと手計算したので、参照間違い・計算ミスのダブルチェックはしておりません。間違いありましたら指摘いただけると幸いです
「新規株式発行による資金調達額(自己株式処分を含む)は2.25億円。調達資金は、本社オフィス移転費用、社内基幹システム構築、サーバー費用、カスタマーサポート人員を中心とした人件費に充てる予定だ。一方、既存株主2社(インフィニティ・ベンチャーズ、オプトホールディング)による売出は約12.2億円で、売出株式比率は約20%だ。」記事中にもあるようにIVPの特徴は
・海外で成長するスタートアップの投資、日本事業垂直立上げ
(グルーポン、Farfetch、17Live等)
・国内ではシードフェーズでの投資、事業立上げ
(MUSE&Co.、ジモティー 等)
と、投資をしながら、経営に関与し事業立上げも行うところです。
早いフェーズで投資するためにリターンが出やすい一方、
自らが経営に関与することでリスクも抑えられるという究極のローリスクハイリターンモデルを実現しています。
これはマネをしようと思ってもできるものではなく、小野さん、田中さんを初めとするIVPチーム独自の強みによるものです。
なお、どんな規模であったとしてもIPOに至るまで事業を立ち上げたことは尊敬に値すると私は思います。本日上場ジモティーのファイナンス分析記事を執筆しました。
今年初のIPOとなるジモティーのIPO時企業評価額は約61億円と小型の新規上場。VCファンド100%出資で設立からEXITまで至った事例です。現在はオプト、NTTドコモなど事業会社が株主の6割以上を占め、二社は社外取締役を派遣して経営に関与しています。
先日メルカリとの事業提携を発表したNTTドコモはtoCサービスを展開するスタートアップへの出資・提携に注力しています。将来的には第二位株主のNTTドコモによるジモティー完全子会社化・買収の可能性もあるでしょう。
VCファンド主導で創業したスタートアップはジモティーが初ではありません。インターネット生保のライフネット生命、靴・ファッションECサイトのロコンドなど、過去にも事例があります。
VCファンド主導で上場まで至ったスタートアップは、果たして持続的な会社運営のもと事業成長を続けられるのでしょうか?是非みなさまのご意見を伺いたいです。